赤(5)×緑(4) ページ20
橙side
｢すみません。
今日からまたよろしくお願いします｣
｢おはようございます。
大丈夫ですよ。
お父様も無理なさらずにしてください｣
｢いえ、もしなんかあったら電話してください｣
｢はい。
行ってらっしゃい｣
朝、早くの保育所。
子どももまばらで、
久しぶりの登所になる5歳の大毅君も、緊張してる様子。
そら、約1ヶ月ぶりの保育所やもんな。
大毅君のお母さんが亡くなって1ヶ月ちょっと。
今日、久しぶりに登所した。
｢ぱぱいってらっしゃい！｣
口をいっぱいに広げて、
手を振ってる大毅君。
さすが大毅君。
元気が取り柄やから。
お父さんも、力が入ったように、
頷いて手を振っている。
｢おう！
仕事頑張ってくるから、
大毅も保育所頑張ってな！｣
｢うん！｣
朝は、久しぶりやから、
友達に囲まれながら元気に遊んでた大毅君。
それぞれのクラスに移動して、
俺は担当の4歳児クラスに入る。
大毅君は5歳児。
今日が初めての登所児、神山智洋君を担当しながら、
去年まで2年間持ってた大毅君のことを気にしてた。
お父さんとのお別れの時は、
笑顔で行ってらっしゃいが言えたけど、
やっぱりどこか不安な気持ちを持つ。
でも、智洋君の事も気にしなあかん。
ゆっくりさんで、
周りの4歳児の子どもよりも、
少しだけ出来ることが少ないから、
また、今日が初めてやから、
人見知りを発揮中。
｢智洋君、何して遊ぶ？｣
｢・・・｣
言葉で気持ちを伝えることも難しいため、
指をさして視覚的に示してみても、
固まってしまってる。
｢あきとせんせい、このこ｣
｢智洋君ね｣
｢ともひろくん、しゃべられへんの？｣
｢うーん、ちょっとお話が苦手やねんて。
やから、ゆっくり待ってあげてな？｣
｢ふーん｣
そう言って走って行ってしまった。
まだ、4歳、5歳の子には難しいかな。
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月8日 19時
