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どっちを取るか悩んではるわ。
その間に。
｢流星君、お口の中パサパサなるやろから、
まずは牛乳な｣
もうしょうがない。
コップを口に持って行って一口飲ます。
と、そのまま自分でコップ持って飲むねん。
喉乾いてたんかぐびぐび一気飲み。
｢ちょちょ、むせんといてや？｣
毎日の事やねんけどな。
いっつも同じ。
ただ、俺が手助けしてじゃなくて、
自分から1個目の行動出て欲しいねんな。
喉と口が潤ったんか、
やっとケーキに手を伸ばす。
｢・・・おいし｣
｢そらよかった。
お調理の先生喜ぶわ｣
さて、お次はこちら。
｢さあ、智洋君は何秒で牛乳飲めるかな？｣
｢・・・・・・・｣
頑固やねんなあ。
40分には食器を返したいから、
あと5分。
｢智洋君何歳やっけ？｣
｢ともくん5さいやで｣
｢あ、じゃあ5秒でいける？｣
｢むり！
みじかいもん！｣
さすが年上の兄姉おるだけある。
時間の感覚あるねんな。
｢じゃーあー、足す10して、15秒｣
｢えーできへんー｣
｢いーーーち、にいーー、さーーーんって、
これくらいの速さは？｣
｢むり｣
はあ、無理なんかどこで覚えてん。
｢じゃあ先生もおかわりありませんー｣
｢むり！｣
｢先生も無理ですー｣
あ、これか。
あかんな。
｢先生とのお約束やん。
智洋君お約束守ってくれへんのに、
先生も智洋君とのお約束守られへん｣
｢ううう｣
考えてる。
ケーキ見つめて考えてる。
｢あれ、｣
窓の外に覗いてる顔。
｢！！｣
｢大毅先生、今から智洋君ね、牛乳飲むんですって。
牛乳全部飲んで、大好きなココアケーキおかわりすんねんな？｣
｢智洋君、もしかして今から牛乳全部飲むん？
めっちゃかっこええやん！
え！先生にかっこいいとこ見せてや！｣
去年の担任大毅先生。
子どもって1回担任持ってもらったらめっちゃ好きやねんな。
特別。
そんな大毅先生に見られてる。
お兄ちゃんになったとこ見てもらいたい。
その気持ちが背中押したんか、
コップ持ってぐいぐい飲んでる。
｢うわ！智洋かっこい！
大毅先生と同じくらいむっちゃ男なれるやん！｣
｢んっ、んっ、んっ、ぷはあ｣
頑張って飲んだから涙目。
その顔がまたかわいくておもろい。
｢かっこい！
ほし組のお兄ちゃんお姉ちゃんにも言うてくるな？
智洋が牛乳全部飲んだって｣
｢うん｣
大毅先生に褒められておかわりも食べれてご満悦の智洋君でした。
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月8日 19時
