青桃2人の父親赤(30)×保育士緑(29) ページ15
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延長は6時半まで。
で、現在6時半。
え、なんなら31分。
今日は土曜日で、所長もおらへん。
どないしよう。
パートさんにも申し訳なくて、
半丁度に上がってねって声掛けた。
｢望くん、流星くん。
パパ、遅いね？｣
｢きょう、りゅうせい、6時半むかえ｣
｢ぱぱ？｣
｢うん。
6時半迎えやけど、いつ来るかな？
とりあえず事務所に移動して、
ちょっともしもししてみよか｣
のんちゃんを抱っこして、流星君と手を繋いで、
2人の荷物も持って、
事務所に移動。
保育所の電話で、
2人の親御さんに電話する。
2人は最近入所してきた兄弟。
大阪から東京への転勤で来たらしいけど、
シングルの家庭。
守秘義務あるから他の人には言うたらあかんけど、
この2人は実母から虐待を受けてて、
それを見兼ねた父親が離婚して引き取った形。
お兄ちゃんの流星君を俺が担任してて、
毎日のように顔は合わせてる。
｢あ、もしもし。
こちら上須戸保育所の神山と申しますが、
重岡さんの携帯でよろしかったでしょうか｣
『申し訳ありません！
はい！重岡です！
2人のお迎えですよね。
すみません！
仕事が長引いて、7時をまわりそうで』
｢あの、誰か迎えに代わりに来れる方って、｣
『うちの両親、大阪で、
誰も頼める人がおらんくて・・・』
痛いほどわかる。
俺も大阪から上京して、
1人でやってきたから。
｢そうなんですね｣
『ホンマにすみません！
どないしよう。
連絡しようと思ってたんですけど、
どうにもできなくて、
そちらからかけてもらう形になってしまって。
ていうか、既にもう過ぎてますよね。
ホンマにすみません』
焦ってるのがよくわかる。
どこで電話してるんやろ？
電車とか大丈夫？
焦ったパパの声が電話越しに聞こえてるんか、
のんちゃんが少し泣きそう。
流星君も不安で、
俺の服の裾を掴んでる。
｢大丈夫です。
私がしっかり見てますので。
お父さんは焦らず、
事故のないようにお迎え来てください。
2人が心配するので、
何時頃になるかだけ教えていただけますか？｣
『はい！
すみません！
今から電車なんで、25分、
いや、20分で行きます！』
｢分かりました。
気をつけて来てくださいね｣
電話を置いて振り向くと、
イケメン兄弟が同じ顔をしてる。
不安な困った顔でも、
イケメンはイケメンやねんな。
お父さんもイケメンやし・・・
って何考えてるんやろ。
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月8日 19時
