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広島市内の、祖母が持ってた土地を譲り受けて、
新居を建てる。
重岡って表札は、
製鉄所でお父ちゃんが作ってくれたもの。
初めての夜は、
お祝いのお米とお肉。
美味しく頂いた。
｢大毅さん｣
私が姿勢を正して、
改めて名前を呼べば、
大毅さんも正座してくれる。
｢不束者ですが、これからよろしくお願い致します｣
｢智子ちゃん、こちらこそよろしくお願いします｣
お布団は、お母ちゃんが用意してくれた、
綿のふわふわしたもの。
2枚のお布団をぴったりくっつけて敷いて。
｢智子｣
名前を呼ばれて、お布団の上で向かい合う。
｢大毅さん｣
｢子どもは好きか？｣
｢大好きです｣
｢何人くらいがええ？｣
｢私と同じくらいがいいです｣
5人兄弟。
｢俺も。
5人兄弟やねん。
俺は次男やけど｣
｢知ってます｣
｢野球できるくらいな｣
言葉では可愛らしくかもうてくるのに、
手つきが男じゃ。
｢あっ｣
初めて聞く自分の声。
咄嗟に口を塞ぐと。
｢もっと可愛い声、聞かせてや｣
優しいのに、強引に手を離されてしまう。
｢愛してるから｣
｢私も、大毅さんだけです。
一生、添い遂げます｣
手を繋いで、
初めての場所に連れて行ってくれる。
昔から川の近くじゃったけど、
泳げんかった。
じゃけえ、大波に連れ去られそうで、
怖くて、大毅さんにしがみつく。
大毅さんは逞しい体で、私を抱き寄せてくれた。
｢柔くて、守らなあかんって思えるわ。
智子、おやすみ｣
そんな言葉を最後に、
私は意識を手放した。
｢誠ちゃん、たっち上手にできるようになったねえ｣
神様が、私たちの間に幸せを授けてくださった。
重岡誠也と名付けた男の子。
スクスク育って、可愛い笑顔は大毅さんにそっくりじゃ。
その後には、良規、咲子、が生まれた。
製鉄所は、船を作るのに動いてはいるけど、
武器を作ることの方が優先で、
鉄が入ってこうへん状態。
経営が厳しくなってるんじゃて。
じゃけん、裕福とは言えんけど、
家族に囲まれて、幸せな日々。
そこに、大毅さんが言うたこと。
｢満州？｣
｢そう。
満州に行ったら、食べるもんも仕事も困らへん｣
満州・・・
中国大陸にある、日本の土地。
｢子ども達のためにも、行ってみいひんか？｣
｢大毅さんが決めたことじゃったら、
私は、どこへでもついて行きます｣
｢智子、ありがとう｣
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ななはち(プロフ) - kikaさん» kikaさんありがとうございます🤍時代物はハッキリ好き嫌い分かれるものやと思って書いてるのですがこうやってコメや反応貰えるとめちゃくちゃ嬉しいです！不安が吹っ飛びます！もう少し続きますのでよろしくお願いします🥰 (4月2日 22時) (
レス) @page27 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
kika(プロフ) - 心臓がギュッてなりました……続き楽しみにしています‼︎ (4月2日 19時) (レス) id: 8a2ca7f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月1日 20時
