7 ページ7
今のお仕事も嫌いやないけど、
おなごとして、結婚もしてないけえ、
居心地が悪い。
｢智子ちゃん｣
｢大毅さん｣
今日は仕事はおやすみ。
大毅さん達はよく、
工場の皆さんと芝居小屋に行ってはのに。
｢智子ちゃんと話したくて。
なんか思い詰めてる？｣
｢大毅さんは、ご結婚とか、どうされるんですか？｣
｢っ、いきなりやなあ。
んー、考えたことないなあ。
この人って人に出会えたらって思ってたから｣
｢出会えたら｣
｢うん。
まあ、出会えたっていうか、
この人がええなって人はおるねんけどな｣
｢え、｣
知らんかった。
その人と、いい感じなんじゃろか。
｢その人、とは、｣
｢甘い物あげたり、時々話したり、
自分なりに色々頑張ってるんやけどな｣
｢そうなんじゃ｣
甘い物あげとるんじゃ。
うちだけやなかったんじゃね。
｢智子ちゃんにだけ、特別に甘いものあげて、
笑ってて欲しいって思ってる｣
真っ直ぐに見つめられて、
固まってしまう。
｢それ、って｣
｢智子ちゃんが好きやねん。
出会った時から。
一目惚れやと思う。
僕と、結婚を前提に付き合うてください｣
真っ直ぐに伝えてくれた。
でも、ここで頷く前に。
｢・・・大毅さんは、
なんで兵隊さんの学校に行ってはったんですか？｣
気になってたこと聞いておく。
兵隊さんは、お国のために戦ってくださる勇ましい方じゃけど・・・
｢父が戦死したから、
学校は学費免除やってん｣
｢そ、うじゃったんですね。
ごめんなさい。
失礼なことを聞いてしまって｣
｢ええねん。
いつか話したいと思ってたから。
智子ちゃんには、俺の全部知ってて欲しいって思ってる｣
やっぱりダメじゃ。
その目で見つめられたら。
何も、よお考えられんくなる。
ただ、大毅さんの逞しいその体に包んでほしい。
｢智子ちゃん、俺と夫婦になってくれませんか｣
真っ直ぐに伝えられる。
｢っ、はい｣
ー1931年。
結納は厳島神社で、家族や工場の人たち、
重岡家のご家族も参列してもらって、行った。
｢・・・智子ちゃん、めっちゃ綺麗や｣
袴姿の大毅さんは、めちゃくちゃにかっこいい。
ぽーっとしてしまって、
大毅さんも照れてしまってる。
それでも、
今から2人で夫婦になる。
夢のような日が始まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 194人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななはち(プロフ) - kikaさん» kikaさんありがとうございます🤍時代物はハッキリ好き嫌い分かれるものやと思って書いてるのですがこうやってコメや反応貰えるとめちゃくちゃ嬉しいです！不安が吹っ飛びます！もう少し続きますのでよろしくお願いします🥰 (4月2日 22時) (
レス) @page27 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
kika(プロフ) - 心臓がギュッてなりました……続き楽しみにしています‼︎ (4月2日 19時) (レス) id: 8a2ca7f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月1日 20時
