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｢もう。
そげな事ないです｣
押した肩ががっちりじゃった。
こんなに男の方と近づいて喋ったのなんか、
工場で働きはるおじさん達以外で初めてじゃった。
その日から、大毅さんは、
よく甘いものをくれはるようにった。
2人で食べたり、
夜中にこっそり食べたり。
いつもなら、弟たちにも分けてあげるんじゃけど、
大毅さんからもろぉたやつは、
どうしても、内緒にしておきたかった。
大正天皇がお亡くなりになられて、
昭和という時代がきた。
アメリカからの青い目をしたお人形さんが流行って、
優子と清子にって、お父ちゃんが買ってきた。
｢智子ねーちゃんも、ほしい？｣
｢うちはええよ。
2人で仲良く遊びんさい｣
｢智子姉ちゃんは、
大毅に色々貰ってるもんなー｣
剛が入ってきた。
｢え！ともこねぇちゃんずるい！｣
優子までが食いついてきた。
｢みんなにもあげるよ｣
昨日、大毅さんに貰ったドロップ。
カラカラ音を立てて、
3人の小さな手のひらに落ちた粒。
1つあげれば、みんなは味をしめる。
｢もっとちょーだい！｣
｢ぼくも！｣
｢清子も！｣
結局、ドロップは全部弟たちの手に。
大毅さんから貰ったものじゃったのに。
でも、しょうがないよね。
ただ、悲しくて、
お姉ちゃんじゃから我慢せないけんって思えば思うほど、
涙が溢れてくる。
大毅さんとの2人の大切なものが、
知られてしまった。
落ち込んだ時に行く場所。
たくさんのお花が咲いてるお庭。
そこで、草花を見ながら心を落ち着けてたら。
｢智子ちゃん｣
大毅さんの声。
｢そんなに、ドロップ欲しかった？｣
｢っ、いえ。
お花が見たくなっただけです｣
｢智子ちゃんのために、
また買うてくるな｣
｢そんなんや、ないです。
剛達にも、あげなあかんのに。
姉として、独り占めしてしまってたうちが悪いけぇ｣
｢そんな事ないよ｣
私の肩を抱いてくれた。
｢智子ちゃんは悪くない｣
｢はい・・・｣
｢そうや。
智子ちゃん、はい｣
｢キャラメルじゃ｣
｢悲しい気持ちも、
甘いもの食べたら少しは落ち着くやろ｣
手のひらにコロンと転がるキャラメル。
｢大毅さんも食べましょ｣
口の中に広がる甘いキャラメル。
舌でコロコロ転がして、
ずっと舐めてたい。
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ななはち(プロフ) - kikaさん» kikaさんありがとうございます🤍時代物はハッキリ好き嫌い分かれるものやと思って書いてるのですがこうやってコメや反応貰えるとめちゃくちゃ嬉しいです！不安が吹っ飛びます！もう少し続きますのでよろしくお願いします🥰 (4月2日 22時) (
レス) @page27 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
kika(プロフ) - 心臓がギュッてなりました……続き楽しみにしています‼︎ (4月2日 19時) (レス) id: 8a2ca7f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月1日 20時
