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ある日、学校に行ったら、
勝子ちゃんがお休みじゃって、聞いた。
｢幼なじみの健ちゃんが、
東京に行くんじゃと。
じゃけえ、お見送り言うてじゃったけど、
もしかしたら、一緒に汽車に乗ってしまうんじゃないかな｣
勝子ちゃんの行動力に尊敬する。
それと同時に、不安が押し寄せてきた。
女学校のお庭に咲く草花を眺めながら、
グルグル頭の中で考える。
｢大毅さん！｣
学校から帰ってきてすぐ、
休憩してはる大毅さんを見つけて、
駆け寄ってしまった。
｢おお、智子ちゃん。
どないしたん？｣
｢大毅さんは帰ってしまいますか？｣
｢智子ちゃんは、お嫁さんに行くんか？｣
私の質問には答えてくれはらへん。
｢うちは、わかりません。
結婚とか、まだそげなこと、考えたこともなくて｣
｢そっか。
智子ちゃんは可愛らしいから、
引く手数多やろな｣
｢そがいなこと、ないです。
結婚なんて｣
自分から聞いた事じゃのに、
そう言われると、悲しくなる。
｢智子姉ちゃん、結婚するんか？｣
そこに、小学校から帰ってきた剛が話に入ってきた。
｢せんよ｣
｢なぁんじゃ。
姉ちゃんみたいな怖ぇ女の人を好むやつもおるんじゃって思ったのに｣
剛はそのまま家の中に入ってしもうた。
大毅さんも立ち上がって。
｢智子ちゃんは、
怖いおなごやないで。
智子ちゃんみたいなお嫁さんもろた男は、
めちゃくちゃ幸せやろな｣
それだけ言うて、お仕事に戻られてしもうた。
そがいなこと言うん、ずるい。
みんなでお裁縫やお料理を学んで、
寒空の下、さよならをした。
卒業したら、うちはお家の経理さんに入って、
毎日修行の日々。
女学校でも数学は得意な方じゃったし、
小さい頃から知ってる人達ばっかりで、
みんな良くしてくださる。
｢智子ちゃん、美味しいお菓子もろたんじゃ。
ちょっと休憩にしようね｣
甘やかしてくださる。
仕事後終わったら、
みんなで晩ご飯も食べる。
食べ終わっても、ワイワイお話したり、
お酒を飲んだり。
｢智子ちゃん、ちょっとええか？｣
大毅さんに手招きされて、
お隣に腰を下ろしたら。
｢これ、貰ったやつやねんけど、
甘いもの、好きなんやろ？
あげる｣
｢え、ええんですか？｣
｢1個しかないから、
智子ちゃんにだけ。
剛君たちには悪いけど｣
眉を下げながら微笑まれる大毅さん。
｢大事に食べますね｣
｢智子ちゃんなら1口ちゃうか？｣
かもうてきはる。
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ななはち(プロフ) - kikaさん» kikaさんありがとうございます🤍時代物はハッキリ好き嫌い分かれるものやと思って書いてるのですがこうやってコメや反応貰えるとめちゃくちゃ嬉しいです！不安が吹っ飛びます！もう少し続きますのでよろしくお願いします🥰 (4月2日 22時) (
レス) @page27 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
kika(プロフ) - 心臓がギュッてなりました……続き楽しみにしています‼︎ (4月2日 19時) (レス) id: 8a2ca7f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月1日 20時
