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｢俺は兵庫県に生まれて、
5人兄弟の2番目。
田舎で貧乏やからご飯いっぱい食べれるって聞いた広島の兵隊の学校に入ってん。
やけどいきなり閉校して、
路頭に迷ってる時、神山製鉄にひろってもらった。
そこの長女が智子さん。
これ、神ちゃんの前世やって思ってる。
その智子さんと俺は結婚して満州に行くねん。
そこで5人の子どもが生まれてんけど、
太平洋戦争のせいで招集されてしもて、｣
ここまでは俺が知ってる話。
そこから俺と大毅さんは離れ離れになってもうたんや。
やからここから聞く話は、
前世の俺の知らん話。
聞きたいような、怖いような。
｢そこから俺は孫呉ってとこからどんどん北に連れていかれて。
でも言うて年くってたから、
最前線やなくて、武器運ぶ任務やった。
小瀧もそこにおってん｣
初めて聞くけど、何となく知ってる地名。
これは前世の智子さんの記憶なんや。
｢結局ソ連、今のロシアが約束破って攻めてきたから、
為す術なくて、捕虜になった。
まあ元々物資も何も日本軍にはなかってん。
メンツのためだけに戦ってた。
俺は、家族のためだけに戦ってた。
いつか家族に会うためだけに言いなりになっててん。
せやけど、昔の俺も俺やな。
寒さに弱かってん。
ソ連はずっと冬。
風邪こじらせてそのまま｣
想像しただけやのに、
ホンマに苦しくて。
｢はあ、はあ、っ、ﾋｭｯ｣
｢神ちゃん、大丈夫、大丈夫。
俺はまた生まれ変わって元気に生きてるから。
智子さんの気持ちやな。
ありがとう。
俺の事そんなに思っててくれてたんや。
ありがとう｣
しげに背中さすってもらって、やっと落ち着けた。
やっぱり捕虜になってたんや。
シベリア抑留。
｢ごめんなさい｣
｢なあんで神ちゃんが謝るねんな。
でもなよく考えてみ？
重岡の苗字で兵庫やろ？
これは憶測やけど、
俺のじいちゃんの名前、良規って言うねん｣
｢え、｣
｢正門と会った時は全く気にならんかったけど、
記憶戻ってからよくよく考えたら、
もう亡くなってもうた方のじいちゃんの名前が良規。
多分、智子さんと俺の子は元気に育ったんやと思う。
そんで、俺のじいちゃんやったんやと思う｣
｢っ、あってる、かも・・・｣
だって、俺らは広島が焼け野原になってたから、
大毅さんの実家を目指したんやから。
そのまま兵庫に住んでたら・・・
｢そう、なんかな・・・｣
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ななはち(プロフ) - kikaさん» kikaさんありがとうございます🤍時代物はハッキリ好き嫌い分かれるものやと思って書いてるのですがこうやってコメや反応貰えるとめちゃくちゃ嬉しいです！不安が吹っ飛びます！もう少し続きますのでよろしくお願いします🥰 (4月2日 22時) (
レス) @page27 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
kika(プロフ) - 心臓がギュッてなりました……続き楽しみにしています‼︎ (4月2日 19時) (レス) id: 8a2ca7f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月1日 20時
