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｢お母ちゃん・・・｣
咲子は記憶では初めての日本。
引き上げ船の中はぎゅうぎゅうで。
それでも何とか日本についた。
兵庫の北の港。
そこから南に移動して、
炎天下の中、大毅さんの実家を目指す。
広島の実家は、帰れへんことになってるって聞いたから。
お父ちゃんもお母ちゃんも、弟妹達とも音信不通じゃ。
そんななか、頼れる場所は1つしかなかった。
｢初めまして。
重岡智子と申します｣
知らんぷりされると思ったのに、
お義母様もお義父様も優しくて、孫が出来たと喜んでくださった。
｢誠也、キャッチボールするか！｣
｢智子さん、お茶にしましょ｣
｢さっちゃん、このお洋服着てみて？｣
大毅さんの妹さんの服を咲子にくれはる。
ホンマに優しくて温かい家族じゃ。
そんななかで育ったから、大毅さんも明るくて温かいんじゃろな。
そんな毎日。
でも、1日たりとも健、ゑみ、大毅さんのことを忘れてへん。
｢智子さん、お話ええかしら？｣
｢はい｣
お義母さんが改まって真剣な顔しよる。
｢大毅は、満州で兵隊にとられたんやんね｣
｢はい｣
｢どこに行くとか、聞いてない？｣
｢いえ、｣
｢数ヶ月前に聞いた話なんやけどね、
満州とか、朝鮮におった日本人は、
ロシアのシベリヤ言う場所に連れて行かれて、
捕虜になった言うねん｣
｢っ、｣
そんな。
そんなん嘘じゃ。
ホンマじゃとしても、
大毅さんがっ・・・
｢智子さん・・・｣
信じてる。
大毅さんは私や、子供らを置いていくような人じゃない。
大毅さんは大丈夫じゃ。
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ななはち(プロフ) - kikaさん» kikaさんありがとうございます🤍時代物はハッキリ好き嫌い分かれるものやと思って書いてるのですがこうやってコメや反応貰えるとめちゃくちゃ嬉しいです！不安が吹っ飛びます！もう少し続きますのでよろしくお願いします🥰 (4月2日 22時) (
レス) @page27 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
kika(プロフ) - 心臓がギュッてなりました……続き楽しみにしています‼︎ (4月2日 19時) (レス) id: 8a2ca7f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月1日 20時
