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｢さっちゃん、お母ちゃんのお手伝いいっぱいお願いできるか？｣
｢お父ちゃん？
兵隊さんになるん？｣
｢そうや。
お父ちゃん、兵隊さんなって敵をやっつけてくるな｣
その瞬間、嗚咽が出るほど泣き出した智子。
腕の中で震えるのを必死に抱きしめる。
その数時間後には、小瀧のとこにも召集令状が来てたことがわかった。
｢しげさんが一緒なら心強いです｣
｢小瀧でかいからなあ。
隠れられるか？｣
｢高いとこから敵見つけやすいやないですか｣
そんな話をしながらも、
まだ知らん戦地を思う。
父親は戦死してる。
同じ結末を迎えるのは日本男児として誇り高いことや。
｢父ちゃん｣
誠也が真剣な顔して立ってるから。
｢おいで｣
｢っ、｣
いつも長男として、弟たちを統率してくれる。
頼もしいわ。
｢俺、みんなのこと守るから。
俺が大黒柱なる。
絶対、みんなまた一緒に暮らせるように｣
｢せやな｣
｢父ちゃん、せやから｣
｢誠也、戦争はな、絶対がないんや。
でもな、家族はずっと家族や｣
3日後。
出発の日が来た。
｢最後にお願いがあるん｣
｢なんや？｣
｢強く、抱きしめてくださいっ｣
震える小さな体。
5人の子を産んだと思えんくらい細い華奢な体を抱きしめて。
俺の幸せがここにある。
この幸せを守るためなら、
命を賭けられる。
｢いってきます｣
｢っ、、ぃ、っ、｣
行ってらっしゃいが言えへん智子をおいて、
誠也と良規、咲子、健、ゑみの顔を見て。
｢いってきます｣
｢っ、｣
｢大丈夫や。
智子、冷たい夜はいつか明けて、
温かい朝が来るから。
それが早く来るように、俺が行くんや。
サクッと終わらせてくるわ｣
｢ぃゃゃ｣
｢あかんよ。
子どもらお願いな｣
最後に1度だけ口付けをして、
小瀧が待つ車に乗り込む。
｢父ちゃん！｣
｢父ちゃん！｣
｢とーちゃーーん！｣
｢っ、｣
名前を呼んで追いかけてくれる。
智子はその場に崩れ落ちた。
｢しげさん、良かったんですか｣
｢しゃあない｣
ああ言うたけど、
行くのはホンマに怖い。
智子と子どもら残してなんか不安でしゃあない。
誠也がまだ14歳で、招集されへんかったことだけが救いや。
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ななはち(プロフ) - kikaさん» kikaさんありがとうございます🤍時代物はハッキリ好き嫌い分かれるものやと思って書いてるのですがこうやってコメや反応貰えるとめちゃくちゃ嬉しいです！不安が吹っ飛びます！もう少し続きますのでよろしくお願いします🥰 (4月2日 22時) (
レス) @page27 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
kika(プロフ) - 心臓がギュッてなりました……続き楽しみにしています‼︎ (4月2日 19時) (レス) id: 8a2ca7f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月1日 20時
