抱きしめた思いに花が咲く 1 ページ11
赤side
満州には夢が詰まってると思ってた。
現実はそうはいかんかったけど、
妻の智子と、息子2人、娘1人と、
何組もの日本からの移住家族と一緒に、
何日も何ヶ月も土地を耕していって。
｢大毅さん、こげなとこにチューリップが｣
｢綺麗やな｣
｢お花も咲くようになったんじゃね｣
移住して数年。
一軒家と、それなりの稼ぎ。
更に、息子の健が生まれて。
夢の世界ではあるんかも。
俺は首都の新京で建設事業に関わってる。
｢ほな行ってくるで｣
｢とと｣
｢けん、ととお仕事行ってくるからな。
かかのとこ行っといで｣
｢健、かかとハルビン行こっか｣
｢さっちゃんもいく！｣
｢智子、気をつけて。
関東軍が守ってくださるから、
何かあったら十字が掲げられてる建物に逃げなさい｣
｢はい。
大毅さんもお気をつけて｣
｢とーちゃん、俺らも学校行く！｣
｢おお、ほな一緒に行こか｣
日本では去年の暮れから、
アメリカ相手に戦争してる。
満州五か年計画で、
どんどん日本からの移民も増えてて、
ここはもう1つの日本や。
｢父ちゃん今日帰ってきたら野球しよな！｣
誠也が言うと。
｢サッカー！｣
良規も負けじと声を張るねん。
さすが男兄弟や。
｢あかんで。
帰ったら畑耕さなあかんやろ｣
｢えー｣
｢ほら、あんたら学校遅れるで｣
智子に急かされると、
2人も急いで用意するねん。
母は偉大や。
｢あ！母ちゃん、これ学校でかいたん！｣
ランドセルの奥から出てきたんは、
くしゃくしゃの絵。
｢これは、ひまわり？｣
｢うん！
ぼくな、ひまわりが1番すきやねん｣
｢そうじゃったん？
ほな、今年はひまわりを植えようかね｣
家の周りや、家の中は、智子が綺麗に花で飾ってくれとる。
｢良規！遅れる！｣
兄貴に急かされて、
急いで用意の再開。
｢｢いってきまーす！｣｣
2人を見送って、
俺も仕事に向かう。
中国語を独学で勉強した俺と違って、
子供らは勝手に覚えてる。
仲良くしてくれてる中国人家族の子供らと遊ぶ時に、
そっちの方が楽しめるしな。
小学校では日本と同じ教育を受けてる。
せやからひらがなもカタカナも書ける。
兵学校と神山鉄鋼所で働いてたおかげで、
それなりの仕事を貰える。
｢しげ、今日は飲みに行くか？｣
その工場で仲良くなった5つ上のくまさん。
｢いや、今日は帰って畑仕事せなあかんねん｣
｢そうか。
忙しいな｣
茨城県出身やて。
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ななはち(プロフ) - kikaさん» kikaさんありがとうございます🤍時代物はハッキリ好き嫌い分かれるものやと思って書いてるのですがこうやってコメや反応貰えるとめちゃくちゃ嬉しいです！不安が吹っ飛びます！もう少し続きますのでよろしくお願いします🥰 (4月2日 22時) (
レス) @page27 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
kika(プロフ) - 心臓がギュッてなりました……続き楽しみにしています‼︎ (4月2日 19時) (レス) id: 8a2ca7f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月1日 20時
