幸せよこの指にとまれ 1 ページ1
緑side
ー1910年(明治43年)7月ー
天皇陛下様の暗殺が目論まれた年。
軍港の街、広島で、
船の部品を造る工場として有名な、
神山製鉄所の長女として生まれた。
ー1925年5月ー
川がたくさんある町。
お庭には、草花がたくさん生えてるおうち。
そこでお花を積んで、
花かんむりにしたり、
近くのお地蔵様や、ご先祖様のお仏壇にお供えたりして、
妹や弟と遊んでた。
｢お母ちゃん、何か手伝うことある？｣
｢茂の面倒見てくれんね。
どうも機嫌が良ぉないんじゃ｣
｢ええよ｣
お母ちゃんからおんぶ紐を譲り受けて、
茂をおんぶする。
茂は今年の1月に産まれた弟。
神山家の第5子、次男。
じいちゃんとばあちゃんと、合わせて9人家族になって、
より一層騒がしなった神山家。
他にも、工場で働く人達も数人、
下宿という形で離れに住んでる。
｢ねーーちゃーーん！
にいちゃんがいじめてくるぅ｣
｢剛、アンタ、小さい子いじめて面白いか？
妹には優しくしんさい｣
｢ちゃうわ！
清子がワシのえんぴつ取ったんじゃ！｣
｢とってない！｣
こんな喧嘩も日常のこと。
｢2人とも仲良ぉしんさい｣
｢｢はーい｣｣
また和室に戻って行ったと思ったら。
｢あー！！！
ゆうちゃんがきよこのおにんぎょーとったあ！｣
妹に人形を取られて、
また泣いてこっちにきた清子。
ホンマ、静かな時がないわ。
そげな時は、お庭の草花を眺めに行く。
｢お兄ちゃんもお姉ちゃんも元気じゃねえ。
茂はどんな子になるんかねぇ｣
背中におぶりながら、
茂に話しかける。
｢ご飯の用意せんといけんね｣
自分で喝を入れて、立ち上がる。
日曜日は学校もないから、
みんな体力が有り余ってるんじゃ。
弟たちを横目に、お台所に入る。
散々騒いだ妹たちは、
帰ってきたお父ちゃんにド叱られとった。
その後すぐは大人しい遊んどったんじゃけど、
ご飯の時間に、剛の方が多く食べたとか、
清子の方が綺麗に箸が持てる、なんてくだらん事で喧嘩して、
またお父ちゃんに叱られてた。
｢そういやあ、知っとおけ？
陸軍の幼年学校が廃校なったんやと｣
｢あれまあ、そがいに急に？｣
｢前々から決まっとったらしいが、
ワシらには報せんかったんじゃな｣
たまに、うちらの知らんとこで、
勝手にお国が決められなさることがある。
そんなもんや思うて、
生きてるから、そこまで気にもならんけど。
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ななはち(プロフ) - kikaさん» kikaさんありがとうございます🤍時代物はハッキリ好き嫌い分かれるものやと思って書いてるのですがこうやってコメや反応貰えるとめちゃくちゃ嬉しいです！不安が吹っ飛びます！もう少し続きますのでよろしくお願いします🥰 (4月2日 22時) (
レス) @page27 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
kika(プロフ) - 心臓がギュッてなりました……続き楽しみにしています‼︎ (4月2日 19時) (レス) id: 8a2ca7f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななはち
| 作成日時：2024年3月1日 20時
