2-2 ページ21
どんどん泳いでいく。
みんな上達がはやくて、
子どもの成長に驚かされるばっかり。
そんな中。
そろそろ休憩しよってなった時。
｢やだ！
まだやる！｣
珠里君の声？
｢珠里？
どうした？｣
｢おれ、まだおよぐねん！｣
｢ん、1回休憩してからな｣
｢いや！｣
｢あかんよ。
疲れてると、泳げなくなるから｣
｢いや！
もっとおよぐの！！｣
無理やりプールに入ろうとするから。
｢珠里終わりや！｣
つい、怒鳴ってしまった。
プールに入るのとか、泳ぐのが嫌だと言う子どもはおったけど、
まだ泳ぎたいって言う子どもは初めてかもしれへん。
｢珠里、1回落ち着こ。
あっちでお話聞くわ｣
簡易の医務室に移動して、
珠里君にタオルを被せる。
｢珠里君、泳ぐの好きなん？｣
｢そうやけど、そうやない｣
｢ん？｣
涙を目に溜めて。
俺が怒鳴ったからか？
｢っ、つよく、ならなあかん、のっ｣
｢珠里、それ始まる時も言うてたけど、
そんなに強くなりたいん？｣
なんか、ヒーローに感化されたか？
｢・・・つよくなりたい。
ママをまもるれるひとになるねん｣
足の上で握られた小さな拳。
せんけど、絞り出された珠里君の声は、
1人の小さな男の声やった。
｢ママを守りたいか｣
｢ママは、オメガやねん。
そしたら、あきらくんが、オメガはわるいって｣
｢え｣
子どもの間でも、そんな話するんか？
｢なんでママがわるいん？！
ママはわるくないやん！
ママがオメガやなかったら、
おれはうまれてへんのに！｣
泣き喚く珠里君。
｢そうやな。
ママおらんかったら、珠里君生まれてないな。
何も悪くない。
誰も悪くないよ｣
珠里君を抱きしめて、
悪くないって言うしかなかった。
｢ママに、言うたん？｣
｢いってない。
ママ、いやなきもちになるから。
やから、ぼくがまもるねん｣
｢そっか。
珠里は強いな｣
頭を撫でて、落ち着いたところで再開。
今日の出来事は、報告させてもらう。
｢でも怒らないであげてください。
珠里君はとっても賢くて強い子です｣
ただ、珠里君が少し無茶をしてしまった、
って事だけ。
それがなんでかは、
珠里君が言いたくなったら言うたらいいと思って、
あえてお伝えはせんかった。
｢すみませんでした｣
｢いえ。
珠里君の頑張りたいっていう気持ちは尊重したいなと思いました｣
奥に、モジモジしてる珠里君が目に入って。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 544人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななはち(プロフ) - ねむちゃさん» ねむちゃさんありがとうございます！ちょっと辛めのかこを持つ黄さんですが、橙さんがこっから頑張ってくれるはずです！久しぶりの橙黄で、かつオメガバなので結構手探りながらも楽しんで書いてます😆これからもよろしくお願いします💕 (11月18日 3時) (
レス) @page28 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
ねむちゃ(プロフ) - 黄…つらいなぁぁぁ！！橙がきっと…！！って思いでみてます笑めちゃくちゃ好きです！！！これからも頑張ってください！ (11月17日 18時) (レス) @page28 id: 45cf627fea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななはち
| 作成日時：2023年10月23日 19時
