未完成(JW 赤×緑)

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先に俺の家に着く。


2人が乗る車を見送って、
家に帰ると、即行、自室に戻って、
幼稚園の卒園アルバムを開く。


擦り切れるくらい見た、それ。


俺の隣でニコニコ笑う男の子。


俺の中でのヒーロー。


この子は、俺より強くて優しかったから、
アルファかな・・・


アルファ同士の男女は、結婚して子供を産めるけど、
アルファ同士の男同士は、それは無理。


アルファ同士で結婚しろってこだわってるのは、
重岡の本家。


アルファとアルファはプライドが高くて、
上手くいかへんって言われるけど、
意外とそうでもないらしい。


アルファ同士でも、
お互いに愛し合えば、家庭は築けるし。


たまにアルファ女性がオメガになる場合も。


それと、それぞれで家を持ってて、
それぞれの仕事があるから、
ずっと一緒に居らへん分、ぶつかることもない。



ホンマに尊敬できる家族。


おおじいさまなんて、
戦後すぐに会社を設立して、1人で多くのものを得てきた人やし。


ただ、アルファに執着があるだけ。


確かに、代々、アルファの家系で、
成功してきたことは間違いないけど。


けど俺の両親は、寛容な人。


そのおかげで、俺も伸び伸び育つことが出来たと思う。



写真に目を移すと、
自分より先に、
その隣の、頭がまんまるの子を、すぐに見つけられる。


ともくん。
だいきくん。


そう呼びあってた。


4歳から幼稚園に通った俺は、
オカンと離れるのが嫌で泣いててん。


その時に、教室まで一緒に行ってくれたんが、
ともくん。


きゅうりが苦手やのに、
お弁当にきゅうりが入ってたら、
頑張れって応援してくれた。


お泊まり保育で大泣きしたのは恥ずかしい過去やけど。


ともくんの苦手な人参がカレーに入ってて、
それをいつものお返しで頑張れって応援してあげた。


夜は、ともくんが手を繋いで一緒に寝てくれてん。


それだけで安心できた。


小学校は、俺は受験して私立、
ともくんは、多分学区内の公立に行ったから、
そこから全く関わりはない。


今何してるんやろ・・・



その瞬間、携帯の着信音が鳴って、
ともくんのこと考えてたから、
ともくん？ってあるはずも無いことを思ってしまった。


ま、そんなことホンマにあるはずなくて。


携帯に表示されるんは、
中高大一緒で、仲良くしてくれる照史先輩。


｢もしもし、｣


『おー、しげ、おつかれさん』


ちょっとテンションの高い照史先輩の声。

その声の後ろでは、
ガヤガヤしてる。

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