未完成(JW 赤×緑)

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赤side


月に1度の、親戚一同の集まり。


取り仕切るのは、
俺のおじいさまのお兄さんの、
おおじいさま。


関西でも1、2を争う大病院、重岡総合病院の理事長。


つまり、俺の家族は、本家ではないけど、
俺らも立派な重岡家の血筋で、
ここにいる全員が医者で、アルファ。


というか、重岡の血筋でも、
アルファやないやつは、ここに入られへん。



俺は、中学校に上がる前の第二次性検査で、
アルファ判定を貰った時に、
初めて招待されるようになった。


ワインを片手に、
大きな口を開けて笑うおおじいさま。


｢悠人はいいお嫁さんを貰ったなぁ｣


悠人は、俺のいとこ。

1つ年上で、重岡総合病院の脳外科医で、アルファ。


そのお嫁さんは、
去年の冬結婚した財閥のお嬢様。


アルファの女性。


おおじいさまの自慢やろな。


｢アルファの女性と、アルファの跡取りを作ることが大切やぞ？
子どもはアルファでないとあかん。
重岡の血筋にベータやオメガなんぞ入っては困ってしまうからな｣


恥ずかしげもなく、大きい声で喋るから、
俺の方が耳を塞ぎたくなる。


周りもおおじいさまの言葉に、
頷いたり、相槌うったり。


俺だけが、そんな失礼な態度は取られへんから、
トイレに逃げたことなんか、
両手両足の指じゃ収まりきらん。


口を開けば、すぐに｢アルファの跡取りを｣
｢オメガは社会的に劣っていてダメだ｣
｢あいつらは悪魔だ｣


そのために、
俺はアルファの女性と結婚して、
アルファの子どもを持たなあかん。


それと、おおじい様は昔ながらの考えの方。


男同士、女同士も認めへん。


優秀な、アルファの子供を持つことしか許されへん。


アルファ同士の子どもは、
遺伝子異常が起きひん限り、アルファの子どもが産まれる。


俺の親もそうやから。


この辺りの重岡の名前を持つ人は、
だいたいアルファ。


おじいさま方、いとこ、
お父さんもお母さんも、姉ちゃんも、俺も。


会食は日付をギリ跨ぐ前にお開きになって、
お父さんとお母さんと3人で送りの車に乗り込む。


｢大毅、おじいさまのお話は、
あまり真に受けるな｣


助手席に座るお父さんの言葉。


お父さんは、独立して、
重岡医院をお母さんと営んでる。


姉ちゃんは、お父さんが手を打ってくれて、
ベータの男性と結婚が許された。


ま、跡取り息子としての俺がおるから、
おおじいさまも大目に見てくれたんやろうな。

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