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結局、いつものように答えが出えへんまま。
既に7月も下旬に差し掛かった。
「大毅君」
「神ちゃん、お待たせ」
待ち合わせ場所でちょっと迷ってしもて、
声をかけてくれた。
夏の日差しが強くて、
キャップとフードを合わせてかぶってる神ちゃん。
前回会った時から、また1ヶ月。
「今日はよろしく」
「久しぶりやから、
テンション既に上がってる」
フェスに向かう電車は、
同じ目的地であろう人達で満員に近い。
「大毅君、クマできてる」
真っ白な指が、俺の目の下に伸びてきた。
「ちょっとな」
「寝れてないん?
今日のフェスやばいかもやで?」
「まあ、やばかったら、ちゃんと自分で管理できるから」
「お医者さんやもんね」
「そうやで」
「でも、心配」
「大丈夫。
神ちゃんこそ、倒れんといてや」
ホンマはここで、
ほっぺに手を伸ばしたかったけど、
触れられることに嫌悪を抱くオメガは多い。
「俺も大丈夫って言いたいけど、
大毅君の前で、2回も倒れてるもんな」
「正確に言えば、最初含めて3回な」
あの居酒屋のトイレで、
めっちゃ匂い濃かったん覚えてる。
「やば」
やっぱり。
あん時、ヒート起こしてたんや。
小声で会話しながら、駅に着くのを待つ。
なんか、めっちゃ雰囲気ええよな。
フェス会場は熱気と、活気に包まれてる。
昔からバンドは好きやった。
フェスも大学生の頃以来。
「やば、どこから見る!?」
テンション上がってる神ちゃん、かわいいねんな。
色んなステージで、色んなアーティストが出演するから、
楽しみが絶えへん。
「こっちも見たいし、ああ、これも見たい」
「絞らなあかんなあ」
「大毅君は見たいのある?」
「んー、最近これってのないから、
神ちゃんが見たいの見たい」
「じゃーあー、」
でも、実は知ってる。
今まで何回も会ってきて、
神ちゃんは優柔不断なんやって。
「オススメは?」
そう聞けば、俺に見せたいって名目で、
1つに絞ってくれる。
自分のためには迷ってまうけど、
人のためにはすぐに決められる子。
優しいんやなって思う。
盛り上がりは最高。
「次、見たいのがあって」
控えめやけど、お願いされた。
アイドルグループが初参戦で盛り上げてるステージ。
「かっこええな」
「うん!」
振り向いて合わせた顔。
キャップとフードの影で気付かんかった。
めっちゃ赤い。
「神ちゃん、ちょっと抜けよ」
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ななはち(プロフ) - ルナさん» ルナちゃんの癖😳このお話頑張って行きたいと思いますので、よろしくお願いします🥰 (9月20日 10時) (レス) id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - ななちゃん…ヤバイかも…私の癖をエグっていく…/// マジでこのお話大好き♡ (9月20日 7時) (レス) @page10 id: 8bee21a619 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななはち | 作成日時:2023年9月16日 21時