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中庭に面した全面ガラスの前で、
立ち止まって、見入ってしまってた。


「先生、次も診察あるんやで、・・・」


濡れて、前に垂れてきた前髪を鬱陶しそうにかきあげて、
だいき先生と呼ばれる人が顔を上げた時。


「・・・・・」


あの人・・・


覚えてる。


足が棒みたいになって、
脳からの指令が届く前に、
だいき先生が、こっちに向かってきてた。


「あの後、大丈夫やった?」


「っ、はい!
あの時は、ありがとうございました!」


「よかった・・・」


「お医者さん、やったんですね」


「ああ、ここの小児科で医師をしてます。
重岡大毅です」


「あ、神山、智洋です」


「知ってる」


ヘラって笑った顔は、
全部わかってくれてるような安心感をくれる。


「この前ポストで、名前、確認しちゃった。
あ!怪しいもんちゃうで!?」


「ふは、わかってます。
ここのお医者さんですもん。
それに、名前もわからん人に、何回も助けて貰って」


「お互い様。
今日は、どうしたん?」


「姉と姪っ子に会いに。
昨日産まれて」


「え!!おめでとう!」


さっきまで子ども達に向けてた笑顔。


めっちゃ大きい口で、
目も見開いてて、
本気で「おめでとう」って言うてくれてるんやって、わかる。


「ありがとうございます?」


いいな、かっこいいなあ。


こうゆう人が番やったらええのに。


「めでたいやん!
っ、ちょっとこっち来て」


急に腕を引かれて。






病院の休憩スペースで、自己紹介。


26歳で、同い年かと思ったら、
今年27になる1個上やった。

今は小児科医さんで、
笑顔が眩しくて、子ども達には、大毅先生って呼ばれてる。



この前のレシートは、経費で落とせるやつやったから、
失くしてたら自腹やったって教えてくれた。


俺のことも少しだけ。


自分のことをこんなに誰かに話したん、久しぶりかも。


大毅君とおったら、
飾らなくていい。


「神ちゃんのこと、知れて嬉しいわ」


「俺も、大毅君のこと知れて嬉しい。
そうや!
この前のジャージ、」


あの日、俺に被せてくれたジャージ。


いつか出会って、返せるって確信があった。


「あー、忘れてたわ。
てか、ええで?
ジャージ、まだあるし」


「っ、あかんよ。
あ、じゃあ、新しいやつ返す」


実は、ずっと考えてた。

新しいやつを返して、
あのジャージは持っておきたいって。


「そんなんええのに」


「あかん。
俺の気が済まへんの」


頑固ってよく言われる。


「んー」

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ななはち(プロフ) - ルナさん» ルナちゃんの癖😳このお話頑張って行きたいと思いますので、よろしくお願いします🥰 (9月20日 10時) (レス) id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - ななちゃん…ヤバイかも…私の癖をエグっていく…/// マジでこのお話大好き♡ (9月20日 7時) (レス) @page10 id: 8bee21a619 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななはち | 作成日時:2023年9月16日 21時

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