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一気にドキドキしてきた。
触れてる部分に全神経が集中する。
ふと、神ちゃんの方を向くと、
上目遣いの目と、目が合った。
唾を飲み込む音がやけに、
耳に響く。
その唇から、目が離せない。
神ちゃんが目を伏せたのを合図に、
俺は、首を傾けた。
.
晴れて恋人になった俺ら。
指文字の数が減った。
赤『とも、おはよう』
緑『大、おはよう』
名前で呼び合うと、
ともは変わらへんって言うてたけど。
しかも、慣れって怖い。
手の動きが自然と『しげ』になるんやって。
『し』が親指立てて、人差し指と中指を横に出す、
ピストルの構えみたいな形やねんけど、
『た』がグッドポーズで、
2本の指をしまう姿がまたかわいい。
大学の受験勉強も2人で。
ともが横におってくれるだけで、
乗り越えられた。
AOとか、推薦で終わった俺ら。
年内には決まってて、
冬休みのクリスマスに被せて、
ディズニーの予約をした。
赤『とも、明日楽しみやな!』
緑『うん、でもちょっと不安』
困り眉と一緒に、
そう言われる。
耳が聞こえへんくなって、
初めての遠出やから。
それも、俺と2人だけで。
赤『大丈夫!
俺がずっとおるから』
困り眉のまま頷くから。
ギュッて手繋いで。
俺がともの右手繋ぐから、
指文字が出来なくて困るって。
いいよ。
赤『文字がなくても、言葉がなくても、
好きって気持ちは伝わるし』
そう伝えたら、
ぎゅーーーって握り返してくれた。
かわいいな。
.
緑「大毅君、とものことよろしくね。
正直、ともを私の目がすぐに届かないとこに行かせるのは、不安やけど、
大毅君やから、って信頼してるから」
赤「任せてください。
無事に守り抜いてみせます」
緑『とも、行ってらっしゃい。
気をつけてね。
楽しんできてね』
緑『いってきます』
ともは、家族の前でも喋らへんのかな。
それが当たり前やけど、
ともの声を聞いたことがない俺。
中学の時、
1年生の時は普通に喋ってたって友達に聞いたから。
新幹線で行く。
ロッカーにキャリーを入れたら、
2人で並んで入場。
俺もちっちゃい時に1回来ただけやから、
ワクワクが止まらへん。
ともも表情からワクワクしてるのが伝わる。
事前に調べたら、
ハンディーガイドを貰えるって知って、
それと冊子を貰って、色々楽しむ。
ホテルに帰る頃にはクタクタ。
緑『だい、ありがとう!』
赤『俺もありがとう』
ぎゅーって抱きしめる。
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作者名:ななはち | 作成日時:2023年5月16日 3時