どんないろがすき？(JW青×桃)

俺の流儀1 ページ9

青side


共働きの両親に、
まだまだ手のかかる妹が2人。

5歳の俺は朝ごはんのパンをかじりながら、
NHKをぼーっと眺めてたっけ。


歌のおにいさんとおねえさんが歌ってた。

それを保育園に行ってもみんなが歌ってて。

お遊戯の時間もそれを歌わされた。


『♪どんないろがすき(あか！)
あかい いろがすき、
いちばんさきになくなるよ
あかいクレヨン♪』


俺にはずっと疑問やった。

だって俺のお道具箱のクレヨンも、
家で使ってるクーピーも、
小学３年生の時に学校からカタログ貰って買った
絵の具セットの絵の具も、

買った時のまま、
ほぼ使わずに新品のままで残ってたから。

親戚で集まった正月。

お寿司をとって子供たちで食べた時、

大好きなマグロを最後までおいてた
ら、
1番下のいとこに食べられた。


好きな物は最後に取っておく。

俺の流儀。


で、気付いたら遅かった、
なんてことは日常茶飯事。


みんなは、ぼーっとしてるからやって言う。













｢・・・｣


俺らのクラスがあるフロアに、
コンピュータ室とか、視聴覚室とか、
特別教室が集まってるから、
基本どの学年もどのクラスもこの廊下を通る。




廊下側、後ろから2番目。

どうせなら窓側が良かったけど、
前の方にかたまったツレからは贅沢者め！
なんて言われたっけ。

まあ、どこでも結局寝るから変わらん。


なんであの机と椅子って一気に寝れんねやろ。

ホンマに、あれはすごい発明品やで。

って、話が逸れたな。


｢おい流星、話聞いてんか？｣

｢ぁえ？、うん｣


急なしげの声に遅れて反応。


｢ほな、ええか？｣


｢えーっと、うん｣


なにが？


｢はい決定、
うちのクラスからは藤井君が選ばれました。
皆さん拍手！｣


・・・

え？



俺に向けられる拍手は耳障りでしかなかった。


｢早速、明日保健委員会あるらしいから、
放課後、えーっと、1年E組行ってな｣


なんで、高校2年のこんな時期に転校すんねん。
元うちのクラスの保健委員やった酒井君に恨みを持っても遅い。
色んな事情があったらしい。


｢流星〜、4階行こーやー｣


｢1人で行け｣


｢なぁんーでぇそんなこと言うぅん？？｣


｢自分の胸に手当てて聞いてみぃ｣


｢・・・とくとく言うてる。
流星！俺生きてる！｣


｢そらよかったな｣


こいつどこまでポジティブ野郎やねん。

さっきまで教室の前で指揮を取ってた人間とは思えん。


こいつとは中学からの腐れ縁みたいなやつ。

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