【HSJ】殺せんせーションズ -外せないLock- ８

◇Relaxation ページ3

◆side:Sonic Hunter





「は？」

「だから、協力してほしいのっ！」

「いや。話が全然分かんない」


ギークが突然、オレに頼み事をしてきた。
それだけでも珍しいのに、その頼み事があまりに突飛すぎて。

何でも、性別転換剤を使ってラピとスコープの仲を元通りにしたいらしくて。
その為に、その薬を仕込む食べ物か飲み物が必要だと。

いや、ラピとスコープのことはオレも気になってたけどさ。
・・・それにしても、どーして性別転換剤よ？


「ふたりの為だから、ねっ？」

「いやまぁ、それは分かってるんだけどさ・・・」


ラピとスコープ。
前にいた施設の時からの友人同士。

だけど最近、ラピの身には数々の不運が降り注いでいる。

この前の誘拐暴行事件もそう。
その前の崩壊していた一家の暗殺に行った時もそう。
聞いた話じゃ、その前にも一度ラピは誘拐されたとか。

そのどれも、スコープはラピの傍にいた。

気付けなかった。
そのせいで傷付けてしまった。
俺はアイツを守れなかった。

いつか、珍しく酔っ払ったスコープが呟いていた。

だから俺は、ラピと距離を置いたんだ。
アイツの傍にいると、俺がラピに不幸を呼び込んでしまうから。

そう言って、泣いていた。


(・・・そんな事は、無いとは思うけどな)


ラピに起こった不運な出来事の数々は、たぶん偶然なんだ。
たまたまスコープが傍にいる時に、起こった偶然。

だけどスコープは、それを自分のせいだと思っている。
兄弟みたいに仲が良いラピを、守れなかった罪悪感。
それが、自分に責任があると。


「・・・いいよ。協力する」


たぶん、今のスコープは気負い過ぎなんだ。
ギークの考えた“イタズラ”で、その気負いが少しでも軽くなるなら。

オレだって、喜んで協力するさ。

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