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一曲弾き終えてそのお客さんの方に目を向けてみる。
色白で小柄、顔は整っている。
飲んでいるカクテルが何かまでは分からない。
「A、なにかいる？」
「亜由ちゃん……悪いけど店長にボレロ選んでもらってきてくれる？」
「わかった。寒い？下げようか」
「大丈夫。着ればいいだけだし」
私が何かを探していると思ったのか声を掛けてくれた亜由ちゃんにそう頼みながら私は椅子に座りなおした。
楽譜をめくる。
端っこに「いい感じでよろしく☆」という店長の走り書きがあった。
見たことのない曲で作者を確認する。
意外にも日本人の名前が書かれていた。
相葉雅紀、その文字を目に映してすぐに楽譜に目を戻す。
彼の新曲のようだ。
いい感じでよろしく、なのはまだアレンジが出回っていないからだろう。
でも、彼の曲の傾向は分かっている。
店長のいい感じがどんなかはともかく、私は頭で曲を組み立てながら鍵盤をぽろんと押し込んだ。
その曲が終わった時、松本くんがステージに上がってきた。
「ほら、ボレロ」
「ありがとう松本くん。亜由ちゃんは？」
「あそこで接客」
松本くんの指さす先を見れば亜由ちゃんはバーカウンターで常連客とおしゃべりをしていた。
松本くんから受け取ったボレロに袖を通しながら私は例のお客さんがいなくなっていることに気が付く。
さっと店内を見渡せばその背中はすでに扉を押し開けるところだった。
「どうかしたの」
「ううん、見たことないお客さんだったなと思ってただけ」
「ああ、あの男性客な。確かに見たことない」
「じゃあ私演奏に戻るね」
「あ、店長から伝言。次の曲弾いたら休憩でいいってさ」
「わかった」
ドレスの裾を手で押さえながら椅子に座りなおす。
磨かれたピアノの漆黒に私の影が映り込んだ。
金文字で掘られた「SAKURAI」というメーカーの文字が薄暗い明りを反射している。
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iCHiKA(プロフ) - のりさん» のり様、お久しぶりです！お待たせしてました、久々の今回は「キスしたいだけ」でございます。こちらこそ今回もありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。お楽しみいただければ良いのですが。今回もぜひ最後までよろしくお願いしますね！ (2021年9月8日 21時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - キタ。今回はキスをしたいだけのお話なんですね。しかも思いがけず長編連載。ありがとうございますm(__)m 既に続きが楽しみすぎです。あ、こんにちは。お疲れ様です。余談ですが私にも亜由ちゃん同様カワイ子ちゃん(3人)がいますw (2021年9月8日 16時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年9月4日 16時
