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見たところ置いてある家具は壁備えの書棚を除くと書斎デスクとこのソファ二台、その間に挟まれたテーブル、そして一際目を引くグランドピアノだけのようだ。
「殺風景でしょ」
「いえ、そんな……」
「良いですよ、無理しなくても」
櫻井さんは笑いを含んだ声で言うと視線をピアノに向ける。
「櫻井の社長室なのに看板商品のピアノがないのはどうなんだってことで、前から置いてあるんです。ただの飾りですけど」
飾り、と口にした櫻井社長はどこか寂し気な顔をしていた。
私はそのピアノの向こうにある棚を見て、気になったことを口にしてみる。
「あの、音楽……お好きなんですか」
「好きですけど……あぁ、その棚ですか」
私の言葉に答えながら視線を追った櫻井さんはそう言うと口角を上げる。
「好きで集めたものです。家にもあるんですが、仕事中にいつでも聞けるようにここにも置いてあって」
多くのCDが並んでいるのがここからでもわかる。
私はようやく二宮さんの言う社長室で演奏して欲しいという仕事の意味合いを理解した。
「それで、社長室でピアノ、ですか」
「はい。生演奏で聞きたいとずっと二宮にわがまま言ってたんですけど、あいつ堅実でなかなか許可くれなくて。お金がかかるって」
櫻井さんは文句のように言いながらも口元が笑っている。
「当たり前でしょう。お金かかりますよ」
「あ、二宮」
「どうぞ恩田様、お茶です」
「ありがとうございます」
いいタイミングというか悪いタイミングというかで二宮さんがお茶を持ってやってきた。
私と櫻井社長の前にお茶を出しながら二宮さんはこれ見よがしにため息を吐く。
「でも、許可してくれたんだろ」
「今回は特別ですよ」
二宮さんが私を見た。
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iCHiKA(プロフ) - のりさん» のり様、お久しぶりです！お待たせしてました、久々の今回は「キスしたいだけ」でございます。こちらこそ今回もありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。お楽しみいただければ良いのですが。今回もぜひ最後までよろしくお願いしますね！ (2021年9月8日 21時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - キタ。今回はキスをしたいだけのお話なんですね。しかも思いがけず長編連載。ありがとうございますm(__)m 既に続きが楽しみすぎです。あ、こんにちは。お疲れ様です。余談ですが私にも亜由ちゃん同様カワイ子ちゃん(3人)がいますw (2021年9月8日 16時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年9月4日 16時
