・・１３７・・ ページ37
.
岩の窪みの蟹。
仰向けで、白くなり死んでいる。
今までは、運よく元気な蟹にしか出会った事がなかった。
生き物が死んでいるのを見るのは初めてではないだろうか？
櫻井達もやって来た。
誰もが、蟹を見て困った顔をしている。
「雅紀」
「しょちゃ・・」
「この蟹はね、もう雅紀とは遊べないんだ」
「何で？」
さて、「死」というものを雅紀に理解出来るだろうか？
「他の蟹と遊ぼうね」
「このかには、まさきと遊べないの？」
「そうだね」
「何で？何で動かないの？」
櫻井は大野の顔を見る。
大野は、水の中から蟹を掴み掌に載せた。
ピクリとも動かない蟹。
雅紀はその蟹をじっと見つめている。
「雅紀」
「ん？」
「この蟹はな、遠い遠い所へ行っちゃったんだ」
「どこ？」
「雅紀の行けないとこだ」
「何で？」
「ん？」
「何でまさきは行けないの？」
「木場くんと一緒だ」
「まもっちゃ？」
「そう、この蟹は木場くんの所へ行ったんだ」
「ここにいるもん」
「でも、動かないだろ？」
「うん」
「身体はここにあるけど、この蟹は木場くんの所に行っちゃったんだ」
「まもっちゃと一緒にいる？」
「あぁ」
雅紀は立ち上がり、木場の墓の方を見上げる。
大野の話が通じただろうか？
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 301人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
碧 - SENさん» こんばんは。あの３人は、翔くん、にのちゃん、潤くんです(^^) おばちゃんに相談したり…今までならきっと雅紀を泣かせてますよ。 (2015年5月13日 22時) (
レス) id: e6a5b6f754 (このIDを非表示/違反報告)
SEN(プロフ) - 碧さん» こんにちは。こんな母の日はいいですねぇ。・・・・あの３人？ (2015年5月12日 17時) (レス) id: efdd22d586 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - こんばんは。忘れなれない母の日になりましたね。それにしても、あの３人は成長しましたねぇ… (2015年5月10日 21時) (レス) id: dc130093c6 (このIDを非表示/違反報告)
SEN(プロフ) - 碧さん» お久しぶりです。常夏だからこそ出来る事ですねぇ(^^♪ (2015年3月17日 14時) (レス) id: 89dcd28b85 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - お久しぶりです。季節外れの花火も良いですね。 (2015年3月16日 10時) (レス) id: ba9b5aac35 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SEN
| 作成日時：2015年2月5日 23時
