【新 世界樹の迷宮2】お話詰め合わせ【ファフニールの騎士】

苦労性の彼に感謝を　中編-1 ページ18

「しかし、何でカレーの話になんだよ。少年関係……いや、あるか」
「いや、おっさんどっちなの、関係あるの？」
一瞬いかぶしげな顔をしたベルトランだったがすぐに納得したような顔になる。どっちなんだとついツッコミをしてしまった。
「えっと…、なにが関係あるのですか？」
「フラヴィオにカレー作る、そうでしょ、ハリス」
「ああ」
やっぱり、と意識せず頬が上がってしまうのは幼馴染みの性なのかなんなのか。つまりハリスはフラヴィオにお礼の気持ちとしてカレーを作りあげたいというのだ。中々いいんじゃないか。
「いいんじゃない？作るのはここでも、宿でもいいと思…」
「だったら、ここを使っていけ」

声がする方を振り向くと、ほんのりといい臭いを纏わせながらレジィナがそこにいた。パチンッと一度消したはずの厨房の電気をつけながら言う。
「彼にお礼をしたいのだろう。だったらここを使っていけ、ここなら充分な道具がそろっているぞ」
「いいんですか、レジィナ様？」
アリアンナがレジィナに聞くとああと答えそれに少しだけ微笑み答える。
「彼に世話になっているのはお前たちだけじゃないさ。…あと彼だけでなく私たちはお前たち全員に感謝はしているんだ」
最後の方は少しだけしか聞こえなかったが、何て言ったのかはほとんど理解できたし言葉に含まれている優しさや意志が汲み取れた。
「…では、有りがたく使わせて頂きますね」
「ああ、明日は急だが店は休みだ。ただし、汚したら今の状態と同じにするんだぞ。いいな?そこの二人」
「「ああ/もちろん」」
最後にハリスとクロエに釘を差し、裏口からレジィナは姿を消した。
「それよりどうすんだ？まさか今からカレー作りか？」
ちなみに今現在の時刻は、8時ちょい前である。作るのには遅い時刻だろうがまだ平気だ。
「ん、作るよ。ほら一晩寝かせた方がカレーは美味しいって言うじゃん？」
「しかし、材料はどうすんだ？食材倉庫の在庫は残ってんのか？」
「あ〜、アリアンナ見てきてくれる?」
「はい、わかりました！」
よしっと腕捲りをする。これでも大体の料理だったら作れる自信はある。…多分。
まず大鍋とまな板、包丁を用意する。量的には9〜10人分ほど作れば胃袋は満たされるだろうか。
「モカ様、カレーに使えそうな材料は残っていました。ですが…」
「ん、どうしたの？」
「レジィナ様が作って頂いたカレーには根唐辛子が使われていたのですが在庫がなかったのです」
どうしましょうと首を傾げるアリアンナ。

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