【新 世界樹の迷宮2】お話詰め合わせ【ファフニールの騎士】

苦労性の彼に感謝を　前編 ページ17

「……ふぅ…、あ〜、やっと終わったな……」
「肩と手が疲れた、メッチャ痛い…」
「二人とも、お疲れ」
ミズガルズへの報告書が終わり一息つく。クロエから労りのお言葉を頂き肩を回すとポキポキと小気味良い音を響かせながら肩が気持ち軽くなる。
傍らにあるコーヒーを飲みながら私が言う。
「しっかし、ハリスも手伝えよなー。これだけの量を二人は大変なんだから」
「……やだ、面倒くさい」
「やだって……子供か、お前は」
軽口を言いながら報告書をトントンとやり合わせる。書いた枚数は私よりもフラヴィオの方が多い。だからなのか私よりも多く首や肩をポキポキと鳴らしている。
「今日はもう寝るから、おれ先戻ってるな、おやすみ」
「はいおやすみなさい、フラヴィオ様」
「ん、おやすみ〜」
チリンと静かな鈴の音が聞こえ、銅羊の狩採処からフラヴィオの姿が消える。
「…しかしミズガルズは大変だねぇ〜、一々報告書を書かなくちゃいけねぇのか？」
「まぁね、主に魔物の種類とか世界樹の迷宮についてだとか書いてるよ、…ハリスはやってくれないけどね〜？」
嫌味っぽくいうと、そっぽを向かれる。報告書を書くのがそんなに嫌かと聞くと反省文を思い出すので書きたくないとのこと。それで報告書を1,3倍になるこちらの身にもなってほしい。
「でもフラヴィオが書いてるのは見るけどモカが書いてるとこ、あんまり見ない」
「宿屋の小部屋で書いてるからね、フラヴィオはなぜか賑やかそうな場所とかで書いてるけど」
「う〜〜ん…」
話しているとアリアンナがなにやら難しそうな顔をして唸っている。
「どうかした、アリアンナ？」
「…考えて見るとフラヴィオ様は私たちの中で一番頑張っているのではないでしょうか？」
その言葉で考えてみる。確かに探索では敵の気配を知らせてくれるのは彼だし発掘や伐採ではカンでレアなアイテムをとるのもしばしばある。戦闘中も素早く動き敵の動きを封じてくれるし、状態異常だって的確に入れてくれる。
「…そういや、そうだな」
「フラヴィオがいないと、色々困る」
うんうんと皆でうなずきあっているとハリスが呟く。
「…カレー作ろう」
「カレー…ですか？」
カレーという言葉に首を傾げるのはアリアンナとベルトランだ。
「フラヴィオはカレー好きだぞ。あと、辛いのも」
「カレーの時、フラヴィオ喜んでた」
皆でやいやいとカレーの話をしていると不思議とカレーが食べたくなってくる。お腹は減っていないのにぐ〜と鳴り出しそうで不思議である。

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