我ら、ﾖﾝｼﾞｭｳﾅﾅ都道府県ズ！【都道府県擬人化企画】【小説本編】 (ページ6)

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第五話【福島県】お昼ページ6

絵本風でお届けします。

　とある街のとあるコンビニエンスストアに福島さん(福富志摩)が口笛を吹きながら入店しました。福島さんはたとえ音程は外れても人の道は外さない人情溢れるいい県です。

　「んー。今日のお昼は何にすっぺがなぁ」

　どうやら福島さんはここでお昼を済まそうとしているようです。家の近くに紅丸という大型スーパーがあるにも関わらず。

　「お、こだ時期さ桃のパンが売ってるなんて、世の中便利になったもんだ。んだなぁ……でもやっぱごはんは米だよなぁ」

　福島さんは色んなコーナーを見ては『新商品』というシールに頭を悩ませています。

　福島さんは新しいものに弱いのです。

　「よし。やっぱこごは塩にぎりにすっぺ」

　力強い声で塩おにぎりを手に取る福島さん。

　新商品に弱いくせに選ぶのはいつも買っているものなのです。福島さんはなんだかんだ言って保守的なのでした。

　「これ一づくんちぇ」

　「はい。108円になります」

　スムーズな動作でお金を払い商品を受け取った福島さん。福島さんはとても礼儀正しい県なので、必ず商品を受け取ると

　「ほんじゃありがとない」

とお礼を言います。

　のどかな昼下がり。福島さんのお昼はお気に入りの縁側で猫と一緒に頂きました。

　「……やっぱり、たまにはパンもよがったがな？」

～方言解説～

何にすっぺがなぁ→何にしようかな。
こだ時期さ→この時期に。
んだなぁ→でもなぁ。
にぎりにすっぺ→にぎりにしよう。
一づくんちぇ→一つください。
ありがとない→有り難う。
よがったがな？→よかったかな？