夢から覚めたら…。 ページ50
あの日から、僕の中の時間は止まったまま。
全ての事が虚ろに過ぎて行く。
自分の心と裏腹に、新しい東方神起として日本でのアリーナツアーも決まった。
いつかAが言ってくれた言葉を思い出す。
『二人ならきっと大丈夫。私には見えるわよ。ドームでライブをするユノとチャンミンが!』
日程の中には、東京ドームも入っている。
『皮肉なもんだな……』そう呟いた声は、興奮したスタッフの声に掻き消された。
そんな僕の様子を、隣でじっと見つめるチャンミナ。たまに視線が合うと、フッと笑って見せる。
そうしないと、悲しそうな顔をするから……。
Aが消息不明になって数ヶ月たった頃、M活動で香港にいたキュヒョナが、何処から聞いたかその話を耳にして、体調を崩して倒れた。
その余波はその後も続き、あいつは交通事故でネットニュースを騒がせた。
ヒニムは、静かに入隊し公益勤務に就いている。
Aの事を知っている人は、少なからず心に大きな痼を抱えたままだ。
僕は、彼女から日本に発つ前の誕生日に貰ったブレスレットを撫でるのが癖になっていた。
もうすぐ約束の1年が経とうとしている。そんな時、日本ツアーの合間を縫って帰国した僕達は会社に集められた。
ユノ『キュヒョナ…大丈夫か?』
キュヒョン『ユノヒョン…。ヒョンの方こそ大丈夫ですか?』
短い会話の中に、お互い牽制しながらもどこか通じるものを感じた。
広い会議室でSMfamilyが一同に会する中、社長が入って来るなり、一瞬で空気が引き締まる。
社長『新しいグループのデビューが決まった。』
後輩のデビューグループの紹介と顔合わせ。
社長『それと、モデルのAIは今後メディアには一切出ない』
社長の言葉で、僕は完全に絶望の淵に突き落とされた。
彼女は、もう戻って来ない…。
1人になりたくて会議室を出た僕は、誰も来ない階段に腰を下ろし両手で顔を覆った。
遠くでざわつく声に混じり『A!』と言う声と、『ユノヒョン!』と僕を探すチャンミナの声が聞こえる。
立ち上がる気力もない僕を、優しく懐かしい香りが包んだ。
その肩越しに見えるのは、泣き顔のチャンミナとキュヒョナ。
『ただいま…。心配かけてゴメンね…』
その声で、僕の張り詰めた糸がプツンと切れた。
涙が頬を伝う。
僕はその背中に腕を回し、抱きしめた。
悪夢の様な1年。愛しい人は腕の中。
『おかえり…』
僕は抱きしめる腕に力を込めた。2度と離さなないように…。
fin
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そらぞう(プロフ) - はい!楽しみに待ってます! (2014年5月15日 20時) (レス) id: f7e9c2c335 (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - そらぞうさん» コメントありがとうございます。あとは、afterstoryの方でそれぞれのお話を書けたらと思ってます。キュヒョンとの絡みもあるかも?しれないですよ。 (2014年5月15日 18時) (レス) id: b16b47566a (このIDを非表示/違反報告)
そらぞう(プロフ) - ホントのラストですか…?お疲れ様でした~。私としてはきゅひょんさんとのラストを期待していましたが、こういう落ち着き方何ですね。長く追い掛けてきて何度も涙しました。ありがとうございました!! (2014年5月15日 16時) (レス) id: 62b339f5e3 (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます。只今、ラストを下書きしています。何度も書き直してまして、まだアップできません。お待ち下さいませ。 (2014年5月15日 14時) (レス) id: 35097dfc61 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - ここに来ての初コメです・・・とうとう終わりが来てしまいますね ライブの前日のようなドキドキを味わっています。とっても楽しませてもらいました ありがとうございます!! (2014年5月15日 14時) (レス) id: 01b01bc73b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:慧 | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/kei3339/
作成日時:2013年12月15日 18時