嘘ツキ彼女とニセ彼氏。番外編

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いい匂いがする。

細い肩。白い肌。赤い唇。






……キス、したい。





重岡先輩と、もうしたのかな。






……したよなぁ。

あの人、手早そうやし。







それ以上の、ことも？








……。







考えすぎは毒や。








「今日は過保護な彼氏と一緒やないんですね？
いっつもうっとおしいくらいベタベタベタベタしとるくせに」









「別にベタベタしてへんもん。
……他の女の子とはしてるみたいやけど」









「へぇー。破局ですか？
早かったですねー」









「べっ別に破局やないもん！
……多分」









「でも重岡先輩、1年にも人気ありますし。
かわいい女の子に迫られて、案外コロッといっちゃったり？」








「……小瀧くんって、氷のように冷たいよね」







自分は案外子供やなぁと思う。

好きな人をいじめて泣かせたいなんて、今どき小学生でもしないかもしれない。









「でも……こうやって落ち込んでる時くらい、ちょっとくらい慰めてくれたってええやん」







あ、ほんとに泣きそうかも。







そんなこと、言わんとって欲しい。

あなたが慰めてって言うなら、いくらでも抱きしめて慰めてあげる。






せやけど本当はそんなこと、望んでないやろ。






僕がそうしたら、あなたは拒絶するくせに。








……苦しい。





苦しい、苦しい。





でも、耐えへんと。






平気な振りをしないと、この人の側にいられない。






僕は彼氏にはならないし、なれない。





こうやってたまに愚痴を聞く、ただの後輩でいい。

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