Sugar & Butters (ページ7)

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「……」

「…」

実際は多分一瞬なんだけど
体感にして数分、

お互いただひたすら見つめ合う時間が続く。

話しかけようにも
言葉が見つからない。

初対面だし、

どうしよう、

「あなたに一目惚れしました。」

って突然言うのもチャラいし、

と何とか言葉を探していると

「ひ〜かる〜〜」

間延びした聞き覚えのある声が聞こえて
俺はハッと目を覚ました。

タイミングが良いのか悪いのか…

振り向くと部屋とバルコニーを繋ぐ扉から
ふっかが顔を出していた。

「俺もタバコ〜〜っ…！っと、？
…あっれ〜？もしかして俺お邪魔だった〜？？？？」

胸ポケットからiQOSを取り出しながら俺に近づいて来たふっか。
進んで行くと遠近法で俺の後ろに被っていた女性の存在に気づいたのかニヤニヤと目を細める。

やめろその笑い方…腹立つな。

「…あー、いや「いえ！！！あの…！！！すみません私がお邪魔してしまって！！！！あの！！！！！全然！！！！退きます！！！！！！！！」

またもや言葉を探しながら
別に何も無いと反論しようとした俺の声に被った声。
ずっと黙っていた彼女のもので、

手のひらをこちらに向けパタパタと高速ジェスチャーをして距離を取りながらも必死に何も無いと弁明する。

うわ、待って……

声もいいな。

もう少し落ち着いた雰囲気だと思っていた彼女だが
俺とふっかに挟まれオドオドとしている姿は
とても慌ただしく人間に怯える小動物みたいで

そして愛おしくてかわいらしい。

ギャップだ。

俺がそんな彼女に目を奪われている事に

多分目の前の、ヤツは気づいた。

慌ててその場を離れようとする彼女を引き止めたのは
ふっか。

「もしよかったらさ、俺らとお話ししない？」

長年連れ添った俺にしか分からないぐらいの
不敵な笑みを浮かべながら。