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妊娠が分かって数か月。彼女はつわりがひどくてにおいのある食べ物を受け付けない。俺にとって、匂いを感じないものであっても敏感になってしまっていてダメだった。ちなみに、獣の匂いもだめで、俺がアニメ―ガスになったとき彼女は戻した。少しショックだった。
そんな彼女は夜中に何度も起き上がってトイレへ駆け込む。そのたびに俺も起き上がって彼女の背中をさすり、落ち着いたら必ず水を飲ませたし、なるべく揺れないようにベッドまで運んだ。彼女はそんな状態なのに俺の心配をしていて、明日も仕事なんだから寝てほしいと言ってくれる。しかし当然俺がそんなことを許すわけもなく、毎夜彼女に付き添った。
５，６か月経ち、いわゆる安定期に入ると彼女の体調が落ち着く代わりにお腹が膨らむ。そして仕事の休みを取った。なるべく彼女が動かなくていいように俺は家で仕事をしてすべての家事をこなした。家に居るし、つわりもだいぶ収まったからと彼女もやろうとするので全力で止めた。万が一家事をしているときに転んだりしたら俺は自分を一生恨むこととなる。何より、彼女といる時間が増えて俺は嬉しいのだ。家事をすべて受け持つくらいなんの負担にもならないくらいには舞い上がっていた。
そして今日。夜眠ろうとしたときに彼女が腹痛を訴えた。陣痛というらしい。その間隔が短くなったら病院に来てほしいと言われていて、俺はそわそわと彼女の手を握って手の甲をさすった。
入院に必要なものは手帳に紙に変えて張り付けたので問題ない。あとは彼女を病院へ連れていき、出産するだけ。怖いのは彼女であるはずなのに、俺は手の震えが止まらなかった。
その後、陣痛の間隔が５分置き程になり、聖マンゴ病院へと向かう。あわただしく助産師が彼女の入院する部屋を行き来している。極度の緊張と、どことなく現実味のないようなふわふわとした感覚。そのまま彼女が分娩室へと運ばれ、自分も付いていく。彼女が苦しそうに息を吐き、額に大粒の汗をかいているのを俺は見ることしかできない。
自分の無力を感じるとともに、女性の強さを思い知った。
「おめでとうございます。元気な女の子ですよ」
助産師さんは生まれたばかりの赤子を抱き上げ素早くへその緒を切ると、ぜえぜえと呼吸するAの横に寝かせた。Aはそんな赤子を慈愛に満ちた表情で見つめていた。
俺は泣きながら彼女に感謝を伝え、彼女らを、一生をかけて幸せにしようと心に刻んだ。
ラッキーアイテム
マールヴォロ・ゴーントの指輪
今日の呪文学
ルーモス（光よ）
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おたけ - この作品を最後まで書き上げてくださりありがとうございます！面白すぎて、１日徹夜して読み切りました！こんな素敵な作品に出会えて本当に感謝です！ありがとうございます！ (7月20日 18時) (
レス) @page43 id: 277811df6e (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 幽蘭さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、読んで頂きありがとうございました。読み返すと誤字脱字が多かったりちゃんと伏線になっていなかったりで初心者丸出しですが…。また機会がありましたらどこかで！ありがとうございました！ (5月25日 23時) (レス) id: cfb2af5982 (このIDを非表示/違反報告)
幽蘭(プロフ) - 最後まで読ませていただきました。素敵な作品ありがとうございました！！ (5月24日 12時) (レス) @page43 id: 1d533b6371 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - RIKOさん» こちらこそ、読んで頂きありがとうございました！素人の妄想を文字にしただけのものですが、楽しんでいただけたようで嬉しいです！またどこかで！本当にありがとうございました！！！ (5月23日 0時) (レス) id: cfb2af5982 (このIDを非表示/違反報告)
RIKO(プロフ) - 本当にありがとうございました！！ (2023年3月25日 2時) (レス) id: 2f1eb9db7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アネモネ | 作成日時：2023年2月25日 14時
