Their Shadow ページ1
スネイプが小舟をゆっくりと漕いでいく。僕はネズミの姿でそれをただ見つめた。ほんの数分後、再び岩場に到着した。正面にある岩の壁は明らかに開きそうな形をしている。僕はジェームズが言っていた洞窟の仕掛けを必死に頭から引っ張り出した。確か、通行料として血をささげなければいけなかったはずだ。
あっという間に岩場につき、僕は船から降り、人間の姿に戻ってスネイプにそれを伝える。なるほど、と彼は言って手の平を何の躊躇もなく切りつけた。そして、血があふれ出す手のひらを岩にこすりつけた。ごごご、と重たい音とともに扉のように開いた岩の壁。さらに奥へと進むことができるようになった。ざっくりと開いた手のひらの切り傷からはとめどなく血が流れている。僕はエピスキーで治すと申し出たが、スネイプは拒否した。血が通行料であるならば、傷を治せば何が起こるかわからない、と。。
こんな痛い思いをして、危険を顧みずスパイまでしてリリーを守りたいと願うスネイプ。僕はどうしてそこまでできるのか、と問いかけようとしてやめた。なぜなら僕はその答えを知っていたからだ。
僕の両親は、良いとは言えない人たちだった。生きるうえで困らないだけのお金はもらっていたけれど、お世話された記憶はない。僕の父は魔法使いで、母はマグル。マグルの母は父に心酔していて逆らわない。父はただ育児に興味のない人間だったのだと思う。僕から見て、母のことは愛していても僕のことは愛していなかった。そんな父が大好きな母は、父がいる間は僕を放って二人の世界を楽しんだ。ホグワーツ入学も、母はたいそう喜んでくれたけれど、その真意は寮生活のため家から僕という邪魔者がいなくなることを喜んでいたのだろう。
そんな環境で育った僕が身につけたのは、強い者に逆らわず同調すること。家は父中心に回っていたから、とにかく父の考え方に合わせた。ホグワーツでも、幸運なことに同室のシリウスやジェームズ、リーマスは所謂「強い者」だったのでとにかく3人に合わせた。同じことをして、同じような意見を言った。
僕はこの自分の生き汚さに気が付いていたし、恥じてもいた。だから自分を3人と同列に思ったことは無いし、"シリウスの腰巾着"なんて呼ばれても仕方のないことだと思った。3人は気にするなと僕を励ますけれど、それが余計に僕を惨めな気持ちにした。
ラッキーアイテム
マールヴォロ・ゴーントの指輪
今日の呪文学
ルーモス（光よ）
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おたけ - この作品を最後まで書き上げてくださりありがとうございます！面白すぎて、１日徹夜して読み切りました！こんな素敵な作品に出会えて本当に感謝です！ありがとうございます！ (7月20日 18時) (
レス) @page43 id: 277811df6e (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 幽蘭さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、読んで頂きありがとうございました。読み返すと誤字脱字が多かったりちゃんと伏線になっていなかったりで初心者丸出しですが…。また機会がありましたらどこかで！ありがとうございました！ (5月25日 23時) (レス) id: cfb2af5982 (このIDを非表示/違反報告)
幽蘭(プロフ) - 最後まで読ませていただきました。素敵な作品ありがとうございました！！ (5月24日 12時) (レス) @page43 id: 1d533b6371 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - RIKOさん» こちらこそ、読んで頂きありがとうございました！素人の妄想を文字にしただけのものですが、楽しんでいただけたようで嬉しいです！またどこかで！本当にありがとうございました！！！ (5月23日 0時) (レス) id: cfb2af5982 (このIDを非表示/違反報告)
RIKO(プロフ) - 本当にありがとうございました！！ (2023年3月25日 2時) (レス) id: 2f1eb9db7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アネモネ | 作成日時：2023年2月25日 14時
