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音楽が鳴っているその輪の中心にはさっきの四人がいて、ショットグラスを乾杯して同時に煽っていた。活気あふれたその雰囲気につられて、私もオレンジの味がするカクテルを一気に煽った。また別のものを飲もうとコンサバトリーのバーに向かうと、そこにはAさんが立っていて、シリウスによく似た男性と話をしていた。彼はAさんのことを姉さん、と呼んでいて、二人は兄弟なのか、と少し驚いた。私に気が付いた弟さんは、私を一瞥し、すぐに目をそらして口を開いた。
「…彼女にシャンディ・ガフを」
「かしこまりました。レギュは？」
ベルモット・カシスで、と目を細めたレギュと呼ばれた彼に、Aさんは少し驚いてグラスを用意した。私に渡されたしゅわしゅわと音を立てるカクテルはビールのほろ苦さとジンジャーエールの甘さで、大人になりきれない子どもの私にぴったりだと感じた。
「レギュ？いつの間に来てたんだ？」
低く落ち着いた声がコンサバトリーに響く。先ほどまで外ではしゃいでいたシリウスが音もなしに私の後ろに立っていた。
「兄さん。僕もリリーさんにお祝いの言葉を、と思いまして」
「ふぅん。ベルモット・カシスね…」
Aさんがレギュと言われた男性にカクテルを渡したのを見計らい、シリウスは彼女の腰を抱いて客間のほうへと消えていった。私はその二人を見送って、もう一口カクテルを口に含んだ。シリウスとAさんは親戚関係だと思っていたが、今の呼び方からしてレギュと呼ばれた彼、シリウス、Aさんの３人兄弟のようだ。
「…カクテルには花言葉のようにカクテル言葉があるんです」
「え…？」
「まあ、そんなことを考えて飲む人なんてあまりいないですけどね」
レギュと呼ばれた彼はそう言ってオレンジ色のカクテルを手にコンサバトリーから去っていった。私はどうしてもカクテル言葉というものが気になってその場で呆然と立ち尽くした。彼はなぜ、私にそんなことを言ったのだろうか。どれほどそうしていたかはわからないが、大丈夫？と声を掛けられて意識が浮上した。そこにいたのはリーマスだ。
「なにか困ったことでもあったかい？」
家主じゃないけど、家主と同じくらいこの家のことは知ってるからね、と笑う彼は私の目線に合わせるように少しだけかがんだ。背も高く、顔に傷のある彼は誰が見たって怖いけれど、その物腰柔らかな話し方で緊張はすぐに解け、カクテル言葉について彼に話した。
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アネモネ(プロフ) - RIKOさん» コメントありがとうございます！大変恐縮です。趣味で書いている程度なのでつたない文章ですが、楽しんでいただけたら幸いです。是非お時間あるときに読んでいただけると嬉しいです！ (2023年2月14日 10時) (
レス) id: 4798491269 (このIDを非表示/違反報告)
RIKO(プロフ) - こんなにも作り込まれていて面白い作品には久方ぶりに出会いました。とても楽しく読めて、最近の私が充実しているようにも感じます。本当にありがとうございます！応援しています。 (2023年2月13日 21時) (レス) @page30 id: 2f1eb9db7f (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - にゃーちゃんさん» コメントありがとうございます！R18版ですが、マイページの設定でコンテンツフィルタがオフになっているのであれば、私には原因がわからないです、すみません…。ブラウザから見るなどしても見当たらなければ解決策を考えるのでまた教えてください！！ (2023年2月8日 9時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 面白くて、思わず一話から一気読みしてしまいました!キャラ達格好可愛いし最高!所で、この小説のR18版が探しても見当たらないのですが、どうしてか分かりますかね…?フィルター等は無いんですけど…知ってたら教えて欲しいです！更新楽しみにしてます! (2023年2月8日 2時) (レス) @page13 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます！趣味で楽しく書かせてもらっています！こんな私の妄想にお付き合いいただいて嬉しいです。無理せずしっかり完結できるように頑張りますので、ぜひこれからもお時間あるときに読んでいただけると嬉しいです！ (2023年2月3日 11時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アネモネ | 作成日時：2023年2月2日 11時
