あの日の沫 Ⅲ【黒鉄の魚影】 (ページ4)

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沫が、六十九ページ4

その時だった。

船着場に着いたと同時に地鳴りのような音が聞こえる。

『(まさか、潜水艦が!?)』

コナンはすぐに橋の柵に飛び乗り、

履いていたキック力倍増シューズのダイヤルを回す。

巨大な波に乗って橋の方に飛んできた

ブイの一部に向かって大きく飛び上がる。

そして、空中で体を捻って逆さまになり、

足の甲で思い切りそれを蹴る!

ｺﾅﾝ｢行っけぇええええええええっ!!!｣

一直線の光のように高波を突き抜ける。

穴が空いた波は、船着場を避けるように押し寄せ、

そして小さな波になっていった。

蘭｢コナンくーーーーん!｣

避難の際に丑尾のボートに乗っていた蘭と阿笠は、

小型ボートのデッキに乗って手を振っていた。

阿笠｢おーい!｣

蘭｢無事でよかったぁ!!｣

『はぁ、ケホッ、はぁ、はぁ、』

ｺﾅﾝ｢助かったぞ、灰原!｣

船着場を振り返ると、仰向けになっている灰原がいた。

嫌な予感が再び背中を走り、急いで灰原の元に走る。

ｺﾅﾝ｢灰原! おい、灰原! くそっ、減圧症か!｣

人工呼吸をしようと、灰原の顎先を持ち上げると、

灰原はそれを阻止するように手で口を塞いだ。

コナンたちの後を追うように蘭が顔を近づけると、

灰原が起き上がり、蘭の顔を抑えて、

ｺﾅﾝ｢!?｣

蘭｢え?｣

『ぁ……………///』

蘭｢……………?｣

ｺﾅﾝ｢ね、寝ぼけてるのかなぁ(苦笑)｣

『(無自覚なんだね。新一は)』

灰原｢(ちゃんと返したわよ、あなたの唇)｣