あの日の沫 Ⅲ【黒鉄の魚影】 (ページ3)

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沫が、六十八ページ3

海の中、もう少しで海上に上がれるという時。

灰原とすずめは目を合わせた。

組織側に正体がバレてしまった以上、

コナンと一緒に行動するのはあまりにもリスクが大きい。

灰原｢ねぇ、工藤くん、分かってる?
組織にわたしたちがシェリーと裏切り者と知られた以上、
このまま帰ったらみんなを巻き込んでしまう｣

『(わたしたちには、もう、帰る場所がない…。
君たちは、米花町で…って、あそこは
安全かと言えばそうでもないけど、)』

コナンが灰原にエアタンクを渡した時、

二人の様子が少しだけおかしくなったのを見た。

それを、少しだけ哀しそうに見る。

　

　

バイバイだね、江戸川コナンくん。

　

その悲しげな思いを振り払うかのように、

コナンは灰原の口にエアタンクを咥えさせる。

ｺﾅﾝ｢(そんな顔してんじゃねーよ! 言ったろ?
俺が二人をゼッテー何とかしてやっからよ!)｣

こんなにも、離れたくないと思ったのは何年ぶりだろう。

心が温かくなる仲間ができて、友達ができて、

家族でもないのに優しくしてくれる家族同然の人たち。

『(新一は気づいていないんだよね。
さりげなく、志保と新一がキスしたこと、
そして今、間接キスしてること)』

　