【gnsn】僕を探してほしいのですが！ (ページ46)

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結局惚気話ページ46

タルタリヤside

その人は今日もまた、焚火をつついていた。

「やあ！今日も取り立てに来たよ」

『またお兄さんか』

そしてまた興味の無さそうに焼いた魚を貪っている。

『食べる？』

と、一匹塩焼きを差し出してきた。

「じゃあありがたく」

それを受け取ると彼の隣に座った。

『＿＿＿、そんなにブローチが欲しいの』

「...まぁね」

本当のことを言うともう半分くらい興味がなくなっていた。女皇様の命じゃなかったらブローチの事なんて忘れていただろう。

『こいつはあんたらが思ってるほどいいものじゃないが...』

と、魚にかぶりついた。

「じゃあ、それは一体なんなんだい？」

少し気になった俺は、ほぼほぼ諦め半分で聞いてみることにした。

『別に隠してるわけじゃないし、良いよ。教える』

想像していた返答と違い、彼はなんでもないようにこの話題に乗って来てくれた。

『これは七神の神の心、邪眼、それから神の目とも違う。僕だけの力を形にしたもの。僕以外の人がこれを使うと＿＿＿魅入られてしまう』

「魅入られる？」

こくんと頷く。

『邪眼を使った時とか、業障とかに近い...のかな。体が内から蝕まれていって...いや、吸い取られて？まあ、最後には存在すらなかったことになる』

”存在すらなかったことになる”
死ぬってことを言うにしてはオーバーな表現な気もした。

『どうしてもこれを害無く使いたいなら、僕ごと持って帰らないとだな』

「それいいね。俺んとこにおいでよ」

『いや冗談...そもそも、僕にはもうこれを使う気はないから』

「どうしてだい。宝の持ち腐れじゃないか」

彼は少し、嬉しそうに笑って遠くを見つめる。

『僕は”その座”から降りたの。もう責務を負うことも無いんだ』

一体なんの話かは、俺には全く分からなかった。
ただ、その笑みの神々しさに浮世離れした雰囲気を感じ取っていた。

『まあその、本当にこの余暇に飽きたら...お兄さんの所にいてもいいよ』

そうして、その笑みは俺に向けられる。
見れば見るほど美しく、綺麗という言葉以外で形容できないことがもどかしいくらいだ。

「ハハっ、俺の所に来たら退屈なんて絶対させないよ。スネージナヤに来たら俺の名前を出してみて。ファデュイのエージェントが君を連行してくれる」

『連行て...なんて呼べばいい？』

「ああ、俺の事は＿＿＿公子って呼んでよ」