【gnsn】僕を探してほしいのですが！ (ページ43)

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拳でページ43

『公子、なにを！』

次々飛んでくる矢を躱しながら公子と対話を試みる。
しかし、残念なことに相手に話し合いの気はない。

「回避だけじゃだめだよ、俺は本気であんたと殺り合いたいんだ」

『...随分熱いファンがいたもんだな』

と、決意したように剣を握る。

それを確認すると公子は一気に距離を詰め弓を双剣に変えて切りかかって来た。
身を屈めて双剣をよけ、下から抉るように切りつける。しかし相手も中々手練れで、剣ごと腕を叩きつけられてしまった。

形勢を立て直す間もなくすぐ次の攻撃が来る。

『クソっ』

咄嗟に足でけり飛ばし距離を取るが、その距離を更に詰めてくる。
喉元に剣が触れかかったとき、双剣は再び弓に戻って難を逃れた。

(時間制限があるのか？)

「使わないのかい？そのブローチは」

『こんなん使わなくたって勝てるってことだよ』

と、彼に駆け寄り着ていた外套を頭に被せる。
一瞬視界が塞がり、隙を見せたところに背後から剣を刺す。

つもりでいたが＿＿＿、

『！？』

水のドームのようなものが彼を包み込む。ドームが弾け、再び公子の姿が見えるとそれは仮面をかぶり、どす黒いオーラを見に纏っているような気さえした。

背後にいた僕に向けて槍を振るう。

ピシっと一筋頬に傷がついてしまった。

(...？)

身体に何か三又の模様が浮かんでいた。
なにかヤバい予感がして公子の方を見ると、そこに彼の姿は無かった。

「ハハッ」

ふと上を見ると大きな槍を構えた彼が降って来ていた。
防ごうと掲げた剣を弾かれてしまう。

(まずい！)

剣はもう諦め、宙に飛び上がって相手の背後を取った。両手を組んで彼の頭に思い切り打ち付ける。

「ッぐ」

『まだ止まるなよ』

下から顎を殴りぬけ、そのまま左フック。床に手をついて二連で回し蹴りした後に両足で頭を絡めとる。

そうして彼に肩車するように上り、そのまま地面に倒れ込むように体重移動。倒れる直前で彼から離れ、胸の辺りを飛び蹴りしてやった。

地面に仰向けに倒れた彼に馬乗りになって拳を高く掲げる。

その時だった。

『おわぁ！？』

乗っていた僕が吹っ飛ばされるほど強い衝撃波が彼から放たれる。
またさっきみたいに形態変化をするつもりなのだろう。

と、斜に構えていたのだが＿＿＿。

『なんだあれ...』

それは、とても人とは呼べないほどの怪物に変身していた。