【gnsn】僕を探してほしいのですが！ (ページ41)

今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:47,107 hit

いい趣味してますねページ41

「＿＿＿それが君との始まりだったってわけさ」

機嫌の良さそうに料理に手を付けながら、歪な箸遣いで口に運んでいく。

『...あんた、変わった趣味してるな』

馴れ初めを一通り聞いた僕の感想はそれだった。正直苦笑いがギリギリできないレベル。
この人公子などとは呼ばれているが、実はかなりの狂人なのではなかろうか。

『で、結局ブローチは取れたの？』

「それが納得いかなくてね。”もうこれ渡すから話しかけてこないでくれ！”と、語気強めで言われちゃってさ。本当は力でねじ伏せてやりたかったのに」

澄ました顔でなんてことを言うのだろうこの人は。

「しかし驚いたな。公子殿でも勝てなかったとは」

「それ鍾離先生が言うの？凄く侮辱されてる気分だよ」

少々煽るようなニュアンスを含んだ笑いをする鍾離さんとは対照的に、不服そうな面でお茶に口をつけていた。

「じゃあ今度は俺が話を聞く番だね。単刀直入に聞きたいんだけど、二人はどういう縁で一緒にいるんだい？」

ふむ...と、箸をおいて熟考する。再び口を開くと彼は簡素に、”戦友だ”と言った。

「戦友？え、じゃあ静芳って何歳なの？」

「わからないな。俺がこの世に降り立った時、既に彼は存在していた」

「少なくとも6000歳以上って事かい！？道理で刃が届かないわけだ」

はあ、とため息をつくと同時に底が見てみたいと探るようなまなざしを僕に向けた。

ちなみに、今一番驚いているのは僕です。

6000歳ってなんだよ、アホみたいな数字じゃないか。その長い歳月をかけた記憶を僕は忘れてしまったのか...無くしたものはでかいな。

「でも、岩王帝君と共に戦ったなんて。何かしら文献とか研究者が突き止めていたりするんじゃないのか？そういう方面に出向いた方が記憶探しには役立つと思うけど」

「それは...思い出したら本人に聞いてみると良いだろう」

『？』

自分の口からは言えないと、料理を口に運んで物理的に口を閉ざしてしまった。

この話は結局これ以上広がらず、公子のファデュイでのやらか＿＿いや、活躍を肴に料理に舌鼓を打つばかりだった。