【gnsn】僕を探してほしいのですが！ (ページ40)

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初めて会った時はページ40

タルタリヤside

「公子殿」

すぐ隣の鍾離先生から、ほんの少し怒気を含む声で諭される。
この人が怒りを面に出すなんて普段では考えられないことだ、よほどの気に入りようだな。

ぱっと静芳から手を放す。心なしか、静芳まで僕を睨んでいるように見えた。

二人が座っているのとは反対側の椅子に座る。

「で、なんで静芳がいるんだ？」

『...話せば長くなるんだけど＿＿＿』

と、彼は言葉を続けた。
どうやら、無くした記憶を探しにひとまず璃月に来たところらしい。

『公子、と言う言葉に少し覚えがあって。何か手掛かりになればとここに来た次第だ』

「うーん、じゃあ俺たちの馴れ初めから話そうかな」

馴れ初め、と言う言葉に露骨に嫌そうな顔をする。そんなことは気にせず昔話をし始めた。

～～～～～
タルタリヤside

最初に会いに行ったのは、女皇様の命令だった。
彼の持つブローチを回収せよと。

決まって住んでいる場所や、目撃情報の多い場所などは無く神出鬼没。
見つけ次第切りかかってよし。と言う感じだった。

「君が女皇様が言っていた奴か？」

見つけたのは本当に偶然で、たまたま彼が野営をしているところに話しかけただけだった。

『女皇...あー、スネージナヤの人か』

興味の無さそうに焚火をつつく彼の姿を今でも覚えている。

「単刀直入に、持っているブローチを渡してほしい」

『それが氷神の願いだと』

暫く考え込む。

『帰って。これは渡せない』

「...そうか」

冷めた目で双剣を握る。
こんな子供を手にかけるのは心が痛むが、しょうがない。殺しはしないさ。

と、目の前に座る彼に剣を振り下ろした...筈だった。

『っ、』

足でひと蹴り剣を弾くと同時に砂を巻き上げ目潰しを図った。

「！君、」

そうして俺が何か言う前に、

『”葛ノ裏風”』

そう響いた声もかき消すほど強い風が足元から吹き付ける。
かなり踏ん張らないとそれこそ飛ばされてしまいそうな程だった。

『...じゃあな、スネージナヤのお兄さん』

どこから声がしたのかもわからないまま彼は去っていってしまった。

確かに自分が相手を甘く見ていたのも原因の一つにしろ、あの俊敏な動きは素人には真似できない。気配だけを消して喋るなんて芸当はもっての外だ。

全力の彼はどんな動きを見してくれるのだろう？

嗚呼、もう任務なんてどうでもいいから＿＿＿＿＿また会えないだろうか。