【gnsn】僕を探してほしいのですが！ (ページ35)

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璃月きちゃページ35

「璃月到着！」

と、パイモンの声が響く。

(結構遠かったな...)

急いで歩いて来た分、疲労の蓄積がとんでもない。
次はもっと楽な方法で来よう...ウェンティに飛ばしてもらうとか。

「大丈夫？ちょっと休もうか」

と、僕の疲労を感じ取ってか不安そうに僕の瞳を覗き込んだ。

『いや、平気だ。ありがとな』

笑いながら言う僕を見てどこか安心しているみたいだった。

「そっか。じゃあ早速往生堂に行こう。そこに鍾離先生がいると思うから」

『了解』

そうして僕らは璃月の中心、大通りへと向かった。

道中香る料理の匂いはモンドとは一風違うが、食欲をそそられる。それに混じって、お香やお茶の匂いがやって来る。

モンドは酒の匂いが強かった印象だが、璃月は気品のある匂いがする気がする。

そんな大通りを通り越し、奥の方にある施設の目の前で止まる。
随分わかりにくい所にあるんだな、とも思ったが、わざわざ葬儀屋を大通りの目立つところに置くのも縁起が悪いかと一人納得した。

扉を開け、中に入っていく。

「おやおやおや？空にパイモン！久しぶりだね。そっちの子はもしかしてお客様！？連れてきてくれたの？」

機敏な動きで目の前まで近づくとその子は捲し立てるように僕に話しかけた。

「私は往生堂七十七代目堂主の胡桃だよ！いざって時はここにきて、悪いようにはしないから...顧客の名前は記憶しておかなきゃ。あ、あなたの名前を聞いてなかったね。」

『僕はA、ちょっと葬儀以外で用があって』

勢いに押されて一瞬自分のことを聞かれていると思わず、一秒ほど間が開いた返答だった。

「あらそう。確かにあなた死とは程遠そうだしね」

どこか納得したように頷き、少し残念と肩を落としていた。

「ちょっと事情があって鍾離先生に会いたいんだけど、今いる？」

「鍾離先生なら、外で講談を聞きに行ってるよ。ほら、万民堂がある方の」

「ありがとう、行ってみるよ」

そう言って僕らは踵を返す。

「やっぱ待って？」

『！』

肩を掴まれてぐりんと体の向きを変えさせられる。

「あなた、七七ちゃんにちょっと似てるね。もしかしたら...ねえ、やっぱり葬儀していかない？」

『えぇっと...？』

「おいら達、仕事の話をしに来たわけじゃないって言っただろ？」

「...はいはい」

パッと僕から手を放す。

少し彼女の言動に気を引かれつつあったが、今はどうでもいいことか。