【gnsn】僕を探してほしいのですが！ (ページ32)

今日:7 hit、昨日:7 hit、合計:47,187 hit

改めて... ページ32

『キャサリンさん、あの依頼って誰か来ましたか？』

「残念ですがまだですね...」

『そうですか』

「だ、大丈夫ですよ！誰か絶対来ますから」

一瞬気を落とした僕にそう言葉をかけてくれた。

「何か進展があったら、また連絡しますね」

『はい』

と、キャサリンさんの元を去る。

僕は冒険者協会に一つ依頼をこっそり出していた。
依頼内容は僕を旅に連れて行ってくれることだ。

勿論何かのついででいい。ただ、モンドに留まってちゃなにも変われないと思った。

僕はやっぱり思い出したい。どんなにひどい記憶でも僕のことを覚えてくれている人に会いたいし、会って思い出したい。

この前のガイアの事で思ったことだ。こうして思い出していかないといつの間にか独りになってしまいそうで怖いのだ。

まあ、僕のことを連れて行ってくれると言う人は未だ出てきていないが。
もう一人で旅に出てしまおうかな。

「A～！」

と、後ろのほうから聞きなれた声が聞こえてきた。

『パイモン、それに空！』

「みたぞ、お前の出した依頼！よかったらおいら達と一緒に行かないか？」

『え？...え！？本当？』

「俺たちも旅をしてるんだ。もしよかったらなんだけど...」

『そんなのこちらこそ喜んで！良かった～...誰も来ないからもう一人で行こうと思ってたんだよね』

「そりゃあんな意味の分からない依頼じゃ、人なんて寄り付かないだろ」

『ダメだった？小説のタイトルっぽくて良いなって思ったんだけど』

「Aの事を知ってる人じゃないと分からないと思う...」

あー確かに。と、少なからず納得してしまった。

『えー、こほん。では二人共。改めて、”僕を探してほしいのですが！”お願いできますか？』

それを聞くと二人は顔を合わせて

「「もちろん！」」

と、言い放った。

～～～～～

「それにしても良かったな。その外套、縫って貰えてて」

『ほんとバーバラには頭が上がらないわ...』

かなり前にボロボロになった外套をバーバラが取っておいてくれていたみたいで、僕たちが旅に出ると聞いて持ってきてくれたらしい。
ただ、水スライムの大きなアップリケが若干恥ずかしい。

「もう忘れものとか無い？」

『うん、そもそも持ち物そんなにないし』

しいて言えば、最後にウェンティに挨拶してから行きたかったけど、まあいいかな。
と、噂をすれば。

「待って！」

と、声がした。