【gnsn】僕を探してほしいのですが！ (ページ15)

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風の訪れページ15

『また今度ね』

歩みを進めるにつれて遠ざかっていくワイナリー。
振り返って小さく手を振れば、ほんの少し彼が笑っている気がした。

もう少しここにいたっていいと言われたが、それは流石に憚られた。
あまりに図々しい気がするからな。

こうして歩いていると、肌に受ける風が優しいことに気づく。

そう言えば僕潰れるまで飲んだのに二日酔いしないんだな....体質？だとしたらきっと酒好きな神様が僕を作ったんだな。

「あ！やっと一人になってくれた」

『？』

え、何今の。幻聴？やっぱ悪い酔い方したんかな。

「ここだよ」

と、今度は明らかに上の方から声が聞こえる。
視線を自分の頭の上に移すと、誰かが僕の方に飛び込んでくるのが見えた。

『っ！』

咄嗟に腕を広げてその子を受け止める。が、勢い余って僕は倒れてしまい、構図的には男の子が僕を押し倒しているような感じになってしまった。

『いたたた...だ、大丈夫？怪我してない』

そんな言葉をかけられたいのは背中を思い切り打った僕の方だけど。

「やっと会えた...！あ、怪我は大丈夫だよ。君がちゃんと受け止めてくれたからね」

『そっ、か』

なんか調子が狂うな。

とは思いつつ、僕はこの子の手を引いて立ち上がる。
身なりからして吟遊詩人。身長は僕より少し小さいくらいだろうか。しかし、どこか大人びているようにも見える。

そして、なぜだかこの子はとてもめんどくさいぞと僕の本能が告げている。

『無事ならいいんだ。僕はもう行くから』

だから、僕はパッと手を放してモンドへ足を進めた。

「えぇ～！？なんで？ディルックにはあんなに優しくしてたでしょ？」

ほら思った通り。初対面とは思えないほど引っ付いてくる。いや、この子にとっては初対面じゃなさそうだが。
今も僕の横で時々視界に入りながらずっと文句を垂れている。

「ね、ほら。ボクのことについて聞いておくれよ」

この子...どこか放っておけないあどけなさがあるな。
さては自分が可愛いってわかってやってるんじゃないか？

困った、この子が上目遣いで期待してきてる。

『...わかったよ。じゃあ、貴方の名前から聞こうかな』

耐え切れなくなってとうとうこの子の言う通りにしてしまった。
しかも、それをわかっていたように目を細めて満足そうにしている。

「ボクはウェンティ。モンドで、いや、このテイワット一の吟遊詩人さ」