【gnsn】僕を探してほしいのですが！ (ページ12)

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僕殺しの酒ページ12

かつて、このテイワットには七神の他に神様がおりました。

無の神と、人は呼びます。もう認知している人の方が珍しいですが。

ある日、彼を利用しようと考えた輩が、無の神の噂を広め始めました。

それはある種、狂信的な人気を博しました。なんせ、”嫌な事をなんでも無くしてくれる神”なんて言われていましたから。

”嫌いなあの人を無くしてください”
”私の難病を無くしてください”
”僕が生きてきたすべてを無くしてください”

わがままばかり彼に乞いました。

耐え切れなくなった彼は”そんなことできない”と、言ってしまいました。

”裏切るなんて”、”邪神め”と彼は人に見放されてしまいました。”殺されるくらいなら”と、彼は一切の自分の記憶を人から消し、そうして誰にも覚えさせないようにしました。

こうして無の神は死んでしまったのです。

～～～～～

『うんうん...え？これで終わり？』

「嗚呼。なんて悲しい物語、だろ？子供に聞かせるには酷な内容なのに毎回毎回聞かせてくるもんだから、もう一言一句全部覚えちまったよ」

『昔の僕は一体何を考えてこんな話を...』

「大方作り話だと思うが、それにしたってもう少しマイルドに作るべきだと思ったよ」

ホントに、幼気な頃の二人に申し訳ないと思うよ...

「どうだ？なにか思い出せそうかい？」

『いや、...ごめん』

「謝ることないだろ。ほれ、お前も飲んだらどうだ？」

と、酒の注がれたグラスを差し出される。

『僕ってお酒強かった？』

「たまに父さんと晩酌を楽しんでいたし、強いんじゃないか？実際の所は良く知らないが」

なんだその不安要素の残る言い方は、と思いつつ、差し出されたグラスに若干の興味が湧いて来ていたのも事実だった。

「飲まないのか？」

ほれほれとガイアがグラスを揺らす。

『い、いただきます』

僕は意を決してグラスを受け取った。

「そいつは俺の一押しでな？ ”午後の死”って言うんだ。お前も気に入ると思うぞ」

なんて名前だ！と思いながらグラスに口をつけた。

『ん！これは中々...美味しい』

「だろ？ちなみに、それはさっきまで俺が飲んでたグラスだ」

『え』

「だからこれは関節キスってやつだな」

もう自分がなにで顔を赤くしているかわからないくらいだった。