【gnsn】僕を探してほしいのですが！ (ページ4)

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冒険のお供に非常食はいかが？ページ4

『ほんとに繋がってたんだ...』

扉にベチっとぶつかってしまうんじゃないかと心配していたが、そんなことにならなくてよかった。

秘境の中を進んでいくと小さなホールのような空間があり、そこに焚き火をしながら“空を飛ぶ小さい幽霊”に話しかける少年がいた。

『こんにちは、貴方が空さん？』

「おい、新しく来た冒険者じゃないか？」

と、小さい幽霊は喋る。

「はじめまして、その様子だと俺のことはある程度聞いてるのかな。敬語とか堅苦しいのは無くていいよ」

『わかった。...その』

「ん？」

『その空飛ぶ幽霊は...背後霊かなにか？』

つい思ったことが口に出てしまった。

「んもう！おいらは“空飛ぶ幽霊”なんかじゃないぞ！おいらはパイモンだ！背後霊でもない！」

「うんうん、パイモンは俺の非常食だもんね」

「お前までからかって！はあ、とにかく。お前の名前は何なんだ？」

畳み掛けるような二人の会話のあと、いきなりボールがこっちに飛んできた驚きて少し会話に間が開く。

暫くして自分に聞かれていることを理解し、『えぇっと』と、気まずそうな声を出した。

『あ〜...それがなくて』

「「ない？」」

僕は事の経緯を説明した。

「それって、記憶喪失ってやつじゃないか！？」

「本当に何も覚えてないの？」

『ああ。生みの親も、出身地も、何も知らない』

バチッと薪が折れる音がする。

「名前が無いと不便だな...そうだ、おいらがあだ名をつけてやるよ！お前はそうだな...“ボロマント野郎”！」

『...さっき空飛ぶ幽霊って言ったの怒ってる？』

あからさまに悪意を感じる名前なんだが。

「パイモン、仕事仲間になんてこと言うんだ」

「ふん！それならお前が考えてみろよ」

それを聞き、空は手を口元にやり暫く押し黙った。

「A、なんてどうかな」

『A、A...うん、こっちの方が、なんだかしっくりくる。ありがとう、空』

普通に名前を貰えたのが嬉しく、思わず口の端が上がる。

「...」

すると、空は黙ってこっちを凝視した。

『ん、なに？』

「え、いや！なんでもないよ」

と、少し焦り、わたわたと顔の前で手を振っていた。

ふう、と浅くため息をついたあと、彼は焚き火の日を消した。

「そろそろ行こうか、A」

『了解！』