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由香が"ん、今日だけ特別 食べ放題"と目の前に置いた箱
流行りの大人のチョコレート
"これ食べて、元気だしな"
って買ったばかりのチョコレートをくれた。
深緑で光沢のある包みを一つとって破ると チョコの香りが鼻をかすめる。
口に含むとカカオの香りが広がった。
チョコの香り=甘い香り
なのは
ふだん、甘いチョコしか食べてないからだ。
……………
今日のチョコはやけに 苦い
口の中に香りが広がって 甘さを感じた後 舌の上に残る苦味
いつの間にか甘さは消えて
ほろ苦さだけが残る
…………………
甘いのに、 苦い…
まるで、潤くんみたいだと思った…
甘い、甘い潤くんは 私の心に苦みを残す。
歯をくいしばるような、苦みを残す。
それでも、また甘さを求めて 口にしたくなるんだ…
………………
「苦っ…」
………………
そう言葉にしたら、余計に涙が溢れた
由香は何も言わない…
ただ、そばにいる。
「苦くて…涙が出る…笑」
俯いた先にポツ、ポツと涙が落ちる。
泣きながら、笑う私に
由「それがおいしんじゃん」
と言う。
「そっか…」
また、ポロポロ流れる涙
…………………
甘い、苦いチョコの味に
涙の塩味が加わった
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作者名：ひな | 作成日時：2014年8月20日 14時
