甘い、オトコ《完》 [Jun]～0830～ (ページ1)

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…………………

放課後

生田「松本、ちょっといい？」

教室の出入口で私を呼ぶのは
ほのかに想いを寄せる
隣のクラスの斗真くん。

あわただしく部活へ向かう人
同じく帰り支度をしてる人

まばらになった教室で
私だけ時間が止まったみたいに出入口から
視線が外せない。

え？

なに？

……………

私？

思わず、キョロキョロ

このクラスに"松本"って私だけなのは知ってるけど、確かめずにはいられなかった。

いつもニコニコしてる斗真くんが真顔なことに不安を感じる。

なんだろう、嫌な予感…

……………

少し重く感じる空気にだまって歩く。

普段から閉鎖されてる屋上へ続く階段

斗真くんの後に続いて上がっていく。

屋上のドアがしっかり施錠されてることはすぐにわかった。

階段を上りきると 2畳くらいのスペースがあって
ドアを背に斗真くんが私の方を向いた。

近くで見る斗真くんは綺麗な顔立ちをしてて
やっぱりカッコいいとか思ってる私は少し浮き足だってるのかもしれない。

見上げた先の斗真くんはいつになく緊張してるようにも見えた。

え？

もしかして、告白とか？

………

いやいや、それはないでしょ。

ないない。

嫌な予感が、少し期待に変化した頃

斗真くんが真っ直ぐ私を見る。

………………

生田「松本、気持ちはうれしいんだ。

でも、ごめん！付き合えない。」

目の前で手を合わせうつむく斗真くん。

はぁ？

え？はぁ？

………………

私、

告白した？

してないよね？

え、いつ告白した？

……………

多分、ポカーンというのはこういう事なんだろうというくらいポカーンとする私。

ビックリし過ぎて言葉が出ない。

ゆっくり、ゆっくり斗真くんが顔を上げる。

そして、そっと私に目を向ける。

…………

「…え…っと、うん、わかった…」

聞きたいことは山ほどある。

言いたいことも山ほどある。

けど斗真くんの申し訳なさそうな様子に "わかった"というのが精一杯だった。

私の言葉にホッとしたのか安心した様子で
"ごめんな！じゃあな！"と立ち去る斗真くん。

足取り軽く階段を降りていく後ろ姿を見ながら

心の中で別のところから沸き上がる感情

………………

まただ…

2度あることは3度ある。
3度目の正直？

いや、

2度あることは3度ある、だ。