SAO～君と出会えて幸せです～ (ページ10)

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1人のヒーロー　① ページ10

「行かない」

その言葉を放ったAに対して、俺は動揺した。
…え？どういう事だよ…行かないって、罪を被るのは俺1人で充分なのに。君を悪者にしたくない、こんなに謝って、後悔している奴を周りに悪者にしたままにはしたくないのに。

「君は、僕にとってはヒーローなんだよ…僕に勇気をくれたヒーロー」

「違う、俺はヒーロー何かじゃない…弱くて、仲間を見捨ててきた奴だ」

「でも、僕にとってはヒーロー何だからさ、それで良いじゃん…ね？」

「ヒーロー…」
ヒーロー何て言葉は俺には重すぎる。いつでも、正義を貫ける奴何かじゃない。

「そう、君はヒーローだよﾆｺｯ」
その笑顔の裏側は、今にも泣き出しそうな顔をしていた。

「だったら、Aもヒーローだ」
俺がAにそう言うと、またもや驚いた顔をした。

「…じゃあ、お互いヒーローで良いんじゃないかな」
Aは少し残念な顔をして言った。そして、一呼吸おいてから

「改めてよろしくね、僕のヒーローのキリト君」

「あぁ、こちらこそよろしくな。A君」

「やっぱり…」
俺の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいだ。
何かおかしなことでも言ったか？

「君、勘違いしてるねw」
何を勘違いしているのか、俺には分からなかったが何を勘違いしているか分かっているAは声を抑えながら笑っていた。

「えっと…何を勘違いしているんだ？」
自分が相手に対して、勘違いをしているので相手に何かを訂正されられるのは何だか少し怖いが、恐る恐る聞いてみると、Aは初めて会った時…つまりパーティーを組む時以来2度目となるが、まるで初めて正体を明かすようにそっとフードを取った。

「僕は男じゃないですよ」
クスリと笑うその子を見て暫くの間、俺はポカンとしていると…

「あれ…驚かせちゃった。おーい、大丈夫ですか～？」

「あ、大丈夫…デス」

「ふふっ…片言になってる」
喋り方的に何となく男だと思ってた…

「えっと…ごめん」

「大丈夫、周りから男扱いされてるのには慣れてるから」
Aの顔を見て、良く見ると瞳の色が黒等ではなく
吸い込まれるように綺麗な青色な事に気付く。すると、その様子を見てハッと気づいたのかAは急いでフードの裾の部分を握る。

「ごめん、怖いよね」
そう言って、深くフードを被ろうとするが俺は無意識に、その手を握りしめて止めた。

「え、あの…」
慌てているAを見て、俺の意識は現実に戻ってくる。

「あ、ごめん！…その、瞳の色が綺麗だから」
その言葉でAは硬直した。