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0.始まりと邂逅 ページ2

VRMMO『ソードアート・オンライン』から出られないと聞かされたとき、私の唇からはほぼ無意識的に吐息がこぼれた。

ぞくぞくと背筋を駆け巡るような高揚感。それは明らかに、歓喜であったように思う。


そう、歓喜したのだ。この世界から出ないでいいことを、歓喜したのだ。
この世界で死ねるなら、本望だと。


顔のないGMからの説明と『贈り物』を受け取ったあと、私は弾かれたようにその場を飛び出した。


嫌いな世界から抜け出して、この鋼鉄の城で生きていたい。
願いは叶えられた、ならば強くなって、生き抜いて見せなくては。

大丈夫だ、この世界でならきっと私は誰にも馬鹿にされない、心を傷つけられない。


だって私は、きっとプレイヤーの中で一番最初に、真っ先に、この世界を受け入れた。




***




それから何日経ったか。1ヶ月は経っていなかったと思う、そのくらいのある日。
第1層フィールド。


これで終わり、と群れを成していたモンスターの最後の一体を切り捨てる。
斬られたことを示す赤い線からその体はぶれ始め、バシャアッとポリゴンの粒子となって消えた。

ふう、と息をついて剣を鞘に戻す。


そうしたところで、どこからかパチパチパチ……と拍手が聞こえて、その音の方へと振り向く。そこには笑みを湛えた男が立っていた。

男は私に歩み寄り、「ブラボー、少年。勇ましいな」と称賛を口にした。

……『少年』……。

少年と呼ばれて、一瞬思考が停止する。
あぁでもそうか、VRMMOでこの歳で、しかも怯えたり怖がったりせずに、一丁前に剣なんか振り回していたら、そりゃ男の子かとも思うかもしれない。

くしゃり、と自分の髪の毛に触れる。
さすがに現実のような質感ではないけれど、それでも十分なほどにさらりと何本か指からこぼれた。

雪みたいに真っ白な髪。
短い髪の毛は、多少長いと言えど、男の子でも通る長さだ。事実、目の前の男よりは短い。

スカートなんかも履いてないし。

男を見上げる。


「……私、女なんだけど」


私がそう言えば、男は目を丸くして、口許を手で覆ってしまう。そうして、「すまない……」と謝罪の言葉が指の先から漏れた。

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梛霧(プロフ) - sora@白楽さん» わわっ、ありがとう!そうかな?そう思っていただけたら一番、かな。 (2016年11月16日 22時) (レス) id: 0ac4ee445f (このIDを非表示/違反報告)
sora@白楽 - 上手…!読んでてとっても面白かった!SAOの世界観がそのまま表せてるのが凄い…! (2016年11月16日 22時) (レス) id: b373d5d5d5 (このIDを非表示/違反報告)
梛霧 - 蜷さん» それな (2016年9月5日 6時) (レス) id: 1f2f1c64c5 (このIDを非表示/違反報告)
- ソクタってこんなに気持ち悪かったんだ…現実なら警察だな… (2016年9月4日 23時) (レス) id: 0447da910d (このIDを非表示/違反報告)
梛霧 - 美優さん» わわっ、ありがとうございます!更新頑張ります! (2016年9月4日 21時) (レス) id: 1f2f1c64c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:硝子屋 | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年8月8日 14時

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