わっしょいの街 ページ17
｢川越のどの辺なのかな？｣
｢駅みてぇのが見えた｣
｢駅…何個かあるんだけどどこかなぁ｣
｢詳しいんか｣
｢うん、まぁまぁ。おばあちゃんちが川越だったんだよねー｣
｢ふーん。｣
勝己くんは扉に肘をついて外を見ていた。
これが最後であって欲しいと思うのに、真逆の感情が心の中で渦巻いている。
勝己くんにそれを勘づかれたくなくて、目的地に着くまで必要なこと以外殆ど話しかけなかった。
｢ここに止めて歩こうか｣
駅前のコインパーキングに車を止めて、1つ目の駅へと向かう。
途中で勝己くんが、違ぇ、って小さく呟いたから戻るのかと思ったけど結局駅前まで歩いた。
｢やっぱ、違ぇな。｣
｢じゃ、次行ってみようか｣
車に戻ってその後も川越にある駅を回ったが、結局何もわからなかった。
当然世界が違うから同じなはずはないんだけど、川越っていう共通点があったから期待した。
｢どんな感じの所だったとか覚えてる？｣
｢……こけし｣
｢え、こけし？｣
｢…クソキメェ量のこけしが転がってたんだよ！！！！｣
何この急展開。
駅が見えて、こけしがクソキメェ量ある…
そんなところ浮かばない。
｢こけし、いっぱいはないけど思い当たる所が1個ある。でも、多分違うと思う。｣
｢……行く｣
向かった先は駅からは程遠い場所だった。
大好きだったおばあちゃんの家の近所にある小さな神社
そこには何故かこけしが置かれていて、おばあちゃんの家に来た時は必ずお参りに行っていた場所。
今は地区の老人会の人達が、ボランティアで神社の敷地内にある売店のような所で販売している、こけしが密かに人気らしい。噂だけど。
｢ここなんだけど違うよね｣
｢…違ぇな｣
勝己くんは何故かこけしをじっと見たあとでそう言った。
だよね、って思った私は次どこ行こうかってスマホを見ながら、隣にいる勝己くんに話しかけたつもりだった。
｢……勝己くん？｣
いない。
嘘だ、なんで突然
こんな別れがある？さよならだってありがとうだって言えてないのに。
確かにね、勝己くんが早く帰れますようにってこけし様にお願いしたよ？
でも、こんなのって、あんまりじゃないか。
古びた神社に立っていたのは、私独りだけだった。
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yamadaringo28(プロフ) - pixivを見てこっちに来たんですが、その後はどうなったんでしょうか？この話がとても好きなので続いて欲しい2人に幸せになって欲しい気持ちがいっぱいで… (2023年5月7日 0時) (
レス) @page19 id: dc8bc9eeec (このIDを非表示/違反報告)
林 真 - はい！更新頑張って下さい！楽しみに待たせてもらいます！！ (2022年8月30日 9時) (レス) @page20 id: ddf55ed9f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：炎香 | 作成日時：2021年8月31日 21時
