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身分【神威】1 ページ1

釣り合わないアナタとワタシは一体どうすればいいのだろう。


春雨第七師団では重苦しい空気が流れていた。右肩を負傷したAが意識もなく運ばれてきた時にそばにいたのは阿伏兎だけだった。

勿論Aのマントだって血だらけなのだが、阿伏兎のマントにもベットリと血が付いていた。Aを抱き抱えていたわけではないらしい。

食事室の机をぐるりと隊員全員で囲み、誕生日席の端と端に座るのは勿論神威と阿伏兎だった。

「一体どういうことなんだい?阿伏兎。」
「……そりゃ言えねぇな。」

ざわりと一気に騒がしくなる食事室。神威はニコリと笑顔を貼り付けたままだったが、内心気が気でなかった。

Aのマントの血は結構乾いていたし、右肩の傷だって、大穴が開いているのが分かるくらいの重症なのだ。最悪夜兎だって、あの傷を治すことは不可能かもしれない。

そうすれば必然的にAは第七師団にいられなくなる。阿伏兎だってそんなことはわかっているはずなのだ。

優秀で美しい秘書的彼女がいなくなれば阿伏兎の負担だって増えるはずなのに。

阿伏兎は相変わらず口を開く気はなさそうだった。どんなに外野がやんややんや言おうと、神威が脅しをかけてもダメだった。

それほどに何か重要な秘密にしなければいけないことが2人の間にはあるのだろうか。

重苦しい空気はまるでみんなを押しつぶすかのように息がしづらい。酸素が薄くなっているのではないか、そんな錯覚さえ感じる。

「…まあ、いいよ。Aが目覚めたらAから話を聞くだけだから。」
「…嬢ちゃんも話さないと思うけどねぇ…。」

今だけは自分よりも阿伏兎の方がAのことを知っていているようで神威はイライラとした空気を隠しきれなかった。

2.→



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作者名: | 作成日時:2019年6月16日 2時

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