102.なんでも知ってる広辞苑 ページ6
「ごう…なんだ?」
「だーかーらぁー!合コンって言ってんだろうが!」
バンバンと机を叩きながら怒りマークを頭につけた銀時はそれでもなお「合コン?」と首を傾げるAを一発殴ってやりたかった。
街先で見廻中だったのであろうAは腰に刀をつけたまま、忽然と一緒に行動を共にしていた山崎の前から姿を消した。
「またかよ!」と悲痛な叫び声を上げた山崎が今どうなっているかは分からない。
ひょいと腕を掴まれたAは一瞬刀に手を向けたが、見慣れた顔がそこにあったので、大した抵抗もせずにここまできた。
万事屋の看板前を通り過ぎた後、少し歩いて着いたのがここだった。初めてくる家だが、それにしても大きい。
「ここは…?」
「新八の家だ。」
興味なさそうに鼻をほじりながら銀時はその足をづけづけとすすめ、玄関先で「ほら、こっちこい。」とAを呼んだ。
新八君ってお金持ちだったのか、と的外れな事を思いながら、Aは銀時の手の振る方へ魔法にでもかけられているかのように軽やかに足を進めた。
Aは不思議な感覚に捉われていた。銀時になにか言いたいような気がしてならないけれど、何を言いたいのかははっきりしない。
銀時といるとほっとするし、今まで自分が見たことのない自分が現れてそれがなんだかむず痒くもある。
ててて…と銀時へ駆け寄り、見上げた私の頭を優しく撫でてくれる。そしてそれにギュッと心臓が鳴る……
としていたのがほんの数十分前で今となっては合コンが理解できないAに罵倒を浴びせていた。だけれどもAは別にそれにむかつくこともなかった。
イライラしてるな、と思う程度だ。
「広辞苑を調べればなんでも書いてあるって総悟が言ってた。広辞苑を貸してくれ。」
「珍しく沖田君にしてはまともなこと教えてんじゃねぇか…」
渡された広辞苑を開き、合コン、の欄を探す。探したそこには「合同コンパ」の略、付き合う相手を探すために、男女それぞれのグループが合同で開くコンパ。と丁寧な明朝体の文字がそれを綴っていた。
「合同…コンパ………コンパってなんだ?」
そうして次はコンパ、を探していくA。そんなAをよそに銀時たちは九兵衛を合コンへ連れていく説得を必死で行っていた。
「コンパ… コンパニーの略、学生などが、費用を出しあって催す懇親会……懇親会ってなんだ?」
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咲(プロフ) - 玲奈さん» すごくそのお言葉嬉しいです…ありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします! (2020年5月10日 10時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
玲奈 - ずっと求めていたものがまさにコレ!って感じで凄いおもしいです!更新楽しみに待っています! (2020年5月10日 3時) (レス) id: 4d2b01f996 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - サクラさん» コメントありがとうございます。頑張って書いていきます。よろしくお願いします! (2020年5月9日 13時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - シリアスすごいいいです!これからの展開が楽しみです!更新楽しみにしてます! (2020年5月9日 9時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - 紅蓮さん» ありがとうございます。ゆっくりだとは思いますが、最後まで見てくださると光栄です。よろしくお願いします! (2020年5月8日 12時) (レス) id: 97c0d12c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲 | 作成日時:2020年1月29日 23時